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「毎秒毎秒、膣に出刃包丁ぶっ刺されてるような…」出産直後の漫画家・峰なゆかを苦しめた、“大人が大泣きするほどの激痛”体験

「毎秒毎秒、膣に出刃包丁ぶっ刺されてるような…」出産直後の漫画家・峰なゆかを苦しめた、“大人が大泣きするほどの激痛”体験

峰なゆかさんインタビュー#2

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 代表作『アラサーちゃん』では、恋愛やセックスにまつわる女性たちの本音を描き出した漫画家の峰なゆかさん。12月2日に2巻が発売されたコミックエッセイ『わが子ちゃん』(扶桑社)では、自身の妊娠・出産や育児について描いているが、やはり本音は隠さない。

 ここでは、夫・チャラヒゲさんとの育児分担や男性の育休取得に対する世間の風当たりの強さについて伺った。(全2回の2回目/前編を読む

峰なゆかさん ©文藝春秋

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「大人が「うわーん!」ってボロボロ涙流して」

――『わが子ちゃん』2巻を読んで一番驚いたのが、出産後の痛みの描写でした。「毎秒毎秒、膣に出刃包丁ぶっ刺されてるような痛みだった」と書かれていましたが……。

峰なゆかさん(以下、峰) 出産後すぐに強い痛みが始まって、看護師さんには最初「痔の痛みですね」と言われたんですが、今考えると最初から膣の痛みだったんじゃないかなと思います。会陰切開で切って縫合した部分の痛みだったのかもしれませんね。

 退院後にさらに強い痛みに襲われたんですけど、「出刃包丁ぶっ刺し」っていうのは誇張のない表現です。大人が「うわーん!」ってボロボロ涙流して泣くことってないじゃないですか。でもそうなっちゃうくらいにキツかったです。

――しんどいですね……。それがどのくらいの期間?

 1カ月くらい。ちょっと体を動かしただけで急にグサグサ!って感じの痛みが始まるような状況が続きましたね。それ以外の時間もずっとジクジクした痛みがあって。

 あんな状態で赤ちゃんの面倒を見るなんて、もう絶対無理なんですよ。だから皆どうしてるんだろうって思いましたね。

『わが子ちゃん』2巻より

――漫画にも、痛みが酷くて座ることができなくて、立っておっぱいをあげるシーンがありましたね。痛みが続いている間は夫のチャラヒゲさんがお世話をしていたんですか?

 そうですね。

夫は「なゆちゃんが9か月耐えてくれるんだから、僕が…」

――もともと峰さんの妊娠がわかった時点で「産後の赤ちゃんのお世話は自分がやる!」とチャラヒゲさん自ら宣言していたんですよね。役割分担の話し合いなどはあったんでしょうか?

 いや、話し合いがあったわけではなくて、当然のように決まっている感じでしたね。私が「子ども欲しいんだけど」って言ったら、チャラヒゲが「じゃあ僕育休とるね」って。

「なゆちゃんが9カ月耐えて子どもを産んでくれるんだから、少なくとも9カ月は僕がワンオペをする」っていうのは、最初の頃からずっと言ってましたね。「僕には出産は代わってあげられないから」って。

 もともと「産めもしないのに、男の自分が子供が欲しいなんて口に出すのは、口に出すのは絶対に許されないことだ」って感じの考え方の人なんですよ。

――どちらかに負担が偏らないように、公平性を考えてるってことですね。もしチャラヒゲさんがそういう人じゃなかったら、妊娠や出産に対する考え方も違ってましたか?

 チャラヒゲがそういう人じゃなかったら、チャラヒゲと子どもなんて作らなかったでしょうね。

 もちろん、チャラヒゲみたいにワンオペするだけが選択肢じゃなくて、たとえばベビーシッター代を出してくれるような人なら全然いいんですよ。そういう責任の果たし方もあると思います。