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 それだけじゃない。車の自動制御の技術をテスラに装備してみれば、「この技術は車だけのものではない」とすぐに思って、「同じ発想で宇宙船を作ったらいいじゃん」という感覚で宇宙事業にも踏み出した。

 イーロンは2013年8月に「ハイパーループ」という次世代の高速輸送システムの構想も発表している。真空状態に近いチューブの中を空中に浮かんで走行する――。それも「摩擦がなければワシントンからサンフランシスコまで5時間で行けるよね」と、極めて単純に考えられた発想だ。

イーロン・マスクの強みとは?

 彼の強みとはアマチュアであることで、だからこそ、いきなり「火星に行くぞ」なんてことも大真面目に言える。「未来」を想像する彼の姿勢は常に一貫しているわけだ。

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 全く自動車の技術を知らない素人が「3000個の電池をつなげれば、とても速い電気自動車が作れる」と言い始めるのは、自動車業界のスペシャリストからすれば、まるで子供の無邪気な発想のように見えるかもしれない。その発想に対して、専門的な視点から「できない理由」を数え上げることもできるだろう。

 だけど、実際に誰も見たことのない「未来」を作り出すためには、そうした「できない理由」をいったん横に置いて、物事の本質だけを見据えるシンプルなものの見方が必要なのだ。まさに無邪気な素人の視点こそが、時にその本質を照らし出すからである。