アービトラージ(鞘取り)取引というマネーゲーム
このように3%で買って2.5%で売って儲けるようなやり方をアービトラージ(鞘取り)取引という。マネーゲームをやる人たちにとってはごくあたりまえの考え方だ。
結局彼らは、こうした数字上でのゲームを行っているにすぎないのだ。チキンレースと呼ばれるのも、投資家たちがまだまだ今後も利回りは下がる(価格は上がる)とみるか、東京のオフィス賃料が上がる結果、利回りが上がり、もっと低い利回りで買ってよい(もっと高い価格で買ってもよい)と判断する投資家が出るとみるか、あたかも麻雀の卓を囲んでいるような光景ともいえる。
金融資本主義というのは所詮こんなものだ。彼らが日本の将来やらなにやらをまともに分析している姿など、私はほとんどお目にかかったことがない。むしろ、自分たちの投資を成功裏に終わらせるために、彼らはマーケットで様々なフェイクニュースを拵えたりさえする。
誰かが最後に「ババ」をつかむ
そして結局最後に誰かが「ババ」をつかんでこのマネーゲームは一旦「お開き」ということになる。「一旦」と言ったのは、ゲームはまたどこかで再開されるからだ。上がり切れば売り、下がり切れば買う、この単純な投資ゲームに付き合わされてババを掴むのはいつの時代でも欲の皮の突っ張った個人投資家や投資の理論も知らずに自分の妄想だけで資金運用する企業だ。
さて、最後の利益とりを目指してチキンレースはさらに加速するのだろうか。都心の不動産はそうした意味でまだ、上がるかもしれない。そのための条件とはなんだろうか。
投資家たちの「絶えざる欲望」である。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」いささか古びたギャグだが、投資マーケットはこんな論理ですらまかり通る魑魅魍魎の世界。おつきあいもほどほどにしたいものだ。