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「大人は信じてくれなかった」幼稚園のお昼寝の時間にパンツに手を入れられて…幼児から幼児への“性被害”実体験

『5歳の私は、クラスの男子から性被害を受けました。』

note

「お昼寝中、隣の男子が私のパンツに手を入れてきて……楽しいはずの幼稚園が恐怖の時間になりました」

『5歳の私は、クラスの男子から性被害を受けました』より

 5歳の少女が同級生の男子から受けた性被害――。コミックエッセイ『5歳の私は、クラスの男子から性被害を受けました。~なんで言わないの?~』(扶桑社)には、そんな衝撃の実体験を描いた表題作「なんで言わないの?」が収録されている。

『5歳の私は、クラスの男子から性被害を受けました』(扶桑社)1月27日発売

 作者である「ゆっぺ」さんのブログで公開され話題を集めた本作は、WEBマガジン「女子SPA!」で作品を紹介した際にも多くの反響を呼んだという。

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「『自分も同じ経験をした』という方々からコメントがたくさん届きました。特に目立ったのは『大人に言えなかった』『信じてもらえなかった』という言葉です。子どもの頃、大人に助けてもらえなくて自分の中に閉じ込めてしまった記憶を、ゆっぺさんの作品を読んで思い出し、理解者がいるという救いのようなものを感じた人が多かったんだと思います」(担当編集者の中井さん)

「子どものすることだから」という先入観

 作中にも、同級生の男子「ボス太郎」からの性的ないやがらせを受けながらも、なかなか先生や母親に相談できなかった5歳のゆっぺさんの心境が描かれている。やっとの思いで先生に打ち明けても「好きな子には意地悪しちゃうもの」と言われ、真面目に取り合ってもらえない。

『5歳の私は、クラスの男子から性被害を受けました』より

「ゆっぺさんは5歳の自分が性被害に悩んでいろいろ考えていたことを鮮烈に覚えているそうですが、それでもやっぱり娘さんが5歳の頃はすごく幼く見えたとおっしゃっていました。大人は子どもの言うことを笑って受け流してしまいがちですよね。『子どものすることだから』と軽く見てしまう、そんな先入観も問題なんだと思います」(同上)

 わが子が被害に遭ってしまったら、あるいは加害してしまったら、我々大人は子どもたちにどう接するべきだろうか――。

「常識や思い込みにとらわれずに、まずは子どもの話を聞いてあげることが大切だと思います。正直なところ、私自身もそういう場面でうまくできる自信はないんですけど、頭ごなしに否定したり怒ったりせず、まずは冷静に状況を把握することに努めたいですね。幼児から幼児への性被害もありえると念頭に置いておくことが、子どもと向き合う時の助けになるのではないでしょうか」(同上)

『5歳の私は、クラスの男子から性被害を受けました』より

紙の本で出版することにこだわった理由

 ゆっぺさんは本作を電子書籍ではなく、紙の本で出版することにこだわったという。その理由は――。

「同じような思いをして傷ついている子どもたちや、傷を抱えたまま大人になった方たちに、紙の本ならそっと手渡してあげることができるから、という思いがあったそうです。子どもたちはもちろんですが、ちゃんとした性教育を受けられなかった今の親世代の大人たちにもぜひ読んでほしいと思います」(同上)

2023年1月27日発売。

「大人は信じてくれなかった」幼稚園のお昼寝の時間にパンツに手を入れられて…幼児から幼児への“性被害”実体験

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