1ページ目から読む
2/2ページ目

最下位に沈んだチームを立て直すために

 講座が行われたホテルの会議室を覗くと壁にはコーチのあるべき姿が描かれた紙が多数、貼られていた。一部を抜粋する。

「チームにとってGOODコーチとはなにか」
①チームへの愛 ②勝利へのこだわり ③全体の利益を考える ④選手情報を共有 ⑤自律的コーチ

「コーチの7つの症候群に陥らない」
①抱え込み ②近視眼 ③押しつけ ④自分がファースト ⑤ベタベタ ⑥やっているつもり ⑦BAD&NO(ダメ出し)

ADVERTISEMENT

「チームの5つの壁の破壊」
①フロントと現場 ②コーチと選手 ③ポジション同士 ④コーチ同士 ⑤一軍と二軍

 その他にも理想のコーチ像、選手にとっての理想のコーチ像などが図などを利用して分かりやすく掲示されていた。その一つ一つを見てしまうと簡単なものかもしれないが、いざという時には忘れがちになってしまう事も多い。2018年が始まる1月という時に改めてコーチ全員で耳にし、口にしあったことはとても意義深く尊い。

コーチのあるべき姿を学ぶ首脳陣たち ©梶原紀章

 マリーンズは1月30日、羽田空港から石垣島に向かって出発した。2月1日、キャンプイン。球春到来である。学んだことを実践し、組織を強く硬いものとする大事な期間となる。

「キャンプでも一言、一言を大事にコミュニケーションを深めていきたいね。これからシーズン中も自分がプラプラと選手ロッカーに行ったりしたいと思うし、お茶でも飲みたかったら監督室に来いと言ってあげるつもり。監督室は開けたままにする。そこは選手だけでなく、僕とコーチの関係もそうありたいし、コーチ陣にもそうしてほしい」と井口監督は改めてコミュニケーションファーストを掲げる。

 現役引退後、すぐに監督就任。指導経験はないが強みがある。それは昨年まで同じユニフォームを着た選手として同じロッカーで選手と近くで接していたこと。何に悩み、どう苦しみ、何が好きで、何を嫌うかを把握していること。マリーンズがどのように最下位に沈み、なぜ1年間を通して浮上できなかったかを目の当たりにしていること。会話を重ねながら散在している問題を分析し、チームとして機能するように作り直していくつもりだ。

 千葉ロッテマリーンズが掲げる育成目標は「自主自律の選手を育てる」。優勝を狙うチームを作るためには屈指の団結力と選手一人一人が自立し自主的にチームのためにプレーをする意識改革は欠かせない。新しいチームがどのように成長し、どのように生まれ変わっていくか。その過程もまたプロ野球ファンにとっては興味深く、注目すべき点となるはずだ。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ウィンターリーグ2017」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/6044 でHITボタンを押してください。