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「美智子さまが皇后だった平成27年、美智子さまのお誕生日のお茶会で、ピアノの生伴奏に合わせて美智子さまが朗読されたことがあります。朗読のCDも出されている美智子さまらしいおもてなしですよね。また美智子さまは3人のお子様たちが幼い頃のお誕生会では、ご自身でピアノを演奏されたり、陛下もバイオリンを演奏されたことがあったそうです。天皇誕生日の“茶会”は伝統的な形式に則って行われるのですが、他の皇室の方々のお誕生会ではそれぞれの形でおもてなしをされることもあるようです」

上皇ご夫妻 ©文藝春秋

雅子さまがお誕生会で見せた気さくな”おもてなし”

 お誕生日のお祝いとなると一般的にはプレゼントがつきものだが、皇室の方々に差し上げるとなると、明文化されていなくても暗黙の決め事があるようにも思える。あるいは一切受け付けないという場合もある。

 しかし、招かれたならば、心づくしの贈り物を差し上げたいと思うのが人情だ。

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「雅子さまが中高時代、お世話になった恩師の方がお誕生会に招待された時、プレゼントを差し上げるべきか悩んで、周囲の人に相談したら『プレゼントは受け付けないようですよ』と言われたそうなんです。皇室の方々にお渡しする物を選ぶのも大変ですし、セキュリティ上の配慮ではないかと思います。ところが厳密な規則があるわけではなかったようで、恩師の方が雅子さまの中高生時代のお写真をアルバムにして持って行くと、女官さんが預かってくれたそうです」

 御所で開催される行事であるためルールも多いが、私的な催しに近い会ということで時に気さくな場面も生まれる。雅子さまが皇太子妃時代には、こんなことがあったという。

2020年、雅子さまお誕生日に際してのご近影 宮内庁提供

「雅子さまは、その恩師の方が俳句を趣味にしていたことから、ある年は恩師の方のテーブルに雅子さまがいらして、『先生、ご紹介したい方がいるんです』と、他のテーブルにいた歌人の岡野弘彦さんと引き合わせてくださったそうです。岡野さんは日本を代表する歌人で、雅子さまのお妃教育でお歌の担当をされていました。恩師の方は雅子さまのお気遣いにとても感激されていました」

 天長祭の儀から始まる天皇誕生日は、当事者である陛下にとって、嬉しくもとてもハードな1日となるようだ。とにかく朝早くから分刻みのスケジュールをこなし、夕方頃から行われる親交のある方々との茶会がお開きになると、ようやく肩の力を抜かれるのではないだろうか。

 実はその後にこそ、これまでの歳月を振り返り、しみじみとした思いを語り合えるご家族との時間が訪れる。

「すべての行事を終えられて、プライベートな時間をお過ごしになるのは、夜7時を回った頃になります。令和2年の天皇誕生日では、雅子さまや愛子さま、秋篠宮ご一家、さらに嫁がれた黒田清子さんご夫妻も加わり、ご家族でのお食事会が催されていますので、今年も同じようにされるのではないでしょうか。その場にはもしかしたら、ケーキやプレゼントもご用意されているのかもしれませんね」