文春オンライン

「死んでしまうかも」娘が2歳の時に離婚、疲労とストレスでパニック症に…青木さやか(49)が実感した“ワンオペ育児のツラさ”

『母が嫌いだったわたしが母になった』より #1

2023/03/04
note

 これは大丈夫か? 仕事をすればするほどお金がなくなるけれど、え、世の中って、これが普通? と頭に浮かびながら、「いや仕事を断るという選択肢はないよね、だって断ったら仕事がなくなってしまう、なくなるということは生活ができない。それに、わたしは、仕事がしたい、ずっと家で娘と2人きりで過ごし続けるのもつらい、あっという間に煮詰まってしまう、イライラしてしまう、そんなものを娘にぶつけたくはない、娘が悪いわけではないのだもの。ごはんをこぼしてもぎゃーぎゃー言っても危ないからやめなさいと言うことをやっても、それが子どもというものだから、娘の機嫌はわたしがとるとして、余裕のなくなったわたしの機嫌は誰がとってくれるの、専業主婦の人たちはどうやってるの、見当つかない、仕事への行き帰りが唯一の息抜き、それでいいのか」と自問自答。毎日そんな思いが浮かんでは忙しさと疲労で何も解決せず、毎日は進む。自分の勝手で離婚したのだから自分だけで行けるところまでは行かなくては。

 家に帰ると、娘はアリエルのネグリジェを着て保育所で覚えてきた、あたりまえ体操を何度も見せてくる。なんと可愛いのだろうか癒されます幸せですお願いですから3回くらいでおしまいにしていただけないでしょうか。笑顔が引き攣りながら、今夜も、こう言ってしまうのだ。

「もう寝なさい」 

ADVERTISEMENT

 とにかく、疲れていた。

 翌日生きるために寝なくてはならない。 

 毎日の目標は「倒れない」であった。

 離婚後、パニック症になったこともあり、仕事もいつまで続けられるのかわからなくなった。

離婚とパニック症

 最初はパニック症だとはわからなかった。ただ、フラフラと倒れそうになることが増え、そりゃ疲れているものな、と済ませていたが、そのうち心臓がバクバクして息が吸えない、死んでしまうのではないか、と恐怖を感じるようになった。 

 離婚して間もなくの舞台中に、そんな状態になり、休みのたびに様々な病院を訪れて心臓から脳から調べたが、特に問題はなく、もしかしたら心因性のものかもしれないですね、と指摘され、心療内科に行くことになった。

 薬でだいぶおさまってはきたが、家にいてもフラフラすることもあり、2人で暮らしているのにわたしが突然倒れたら幼いこの子はどうしたらよいのかと考えると、ますますフラフラバクバクしてきて、途方にくれた。寝室は1階にして、もしママに何かあったら、窓を開けて助けてくださいと言いなさいね、と教えこんだ。ママが起きません、さあ、どうする? 窓開けて? と、お稽古をさせたりもした。まだ携帯も使えない小さな子どもと2人きり。心配で心配で、さらに心が疲弊した。