「田プラ側」
5月の面会の際は、5000万円という金額だけが提示され、この金が原状回復費用なのか解決金なのかとか、金の性質については具体的な説明を受けたわけではない。しかし、副知事の言い方では、本来的には5000万円は県として支払いの義務はない、法的には無根拠の金であり、後日にオンブズマン等の第三者から不当な支払いであるとの訴えを受ける可能性のある金である。もし県が訴訟で敗訴する場合には、返金をしてもらわなければならない性質の金であるという趣旨の説明であった。
「群馬県」
(絶句)
「田プラ側」
そんな血まみれの金を渡されても困るし、議会手続きの際に知事以下が火だるまにでもなれば、田プラにも飛び火するだろうし迷惑だという旨はその場で伝えた。撤退に関わる諸費用の件もさることながら、中長期の運営を想定して所要の人員を雇用し、設備投資まで行ってきた。店舗運営等で県に迷惑をかけたというのであればともかく、コロナ禍も乗り越えて売上も向上しつつあり、急な政策変更でアンテナショップが閉店に追い込まれ契約更新に対する期待権が侵害されている。これだけの大事件にもかかわらず県側の回答が遅く、また不誠実な対応を受けていることに対する怒りが根底にあることはご理解頂きたい。
「群馬県」
お気持ちは適切に理解。自分も長年に渡って県から相談を受けているが、このような個別案件に関する交渉を委任されるのは初めてのことで驚いている。一連の交渉過程について、田プラ側では副知事のスタンドプレーのように思われているかも知れないが自分の肌感としては、本件は知事まで上がっていると思う。担当部局と副知事との間のコミュニケーションが遅いことに加えて、知事と副知事の間のコミュニケーションの遅延が複雑に絡み合って、解決自体が先延ばしにされているのではないかと想像する。
県による業務委託契約の中途解約?
これが昨年9月12日に行われた「田プラ」側と群馬県側の代理人とのやり取りである。
しかし、別の交渉の場においてこの代理人からは5000万円の内訳について原状回復工事代金として3600万円、県が撤退した後の3カ月分の家賃の肩代わりとして1400万円という計算が県内部で検討されていたという衝撃の発言も飛び出している。
「田プラ」側の主張は単純なものだ。前知事との間で交わされた10年という約束をなぜ反故にするのか。その約束が守られないのであれば、10年を見据えて投資した資金の回収について、また雇用した社員らの処遇について前向きな話し合いをしたいというだけだ。
「田プラ」は県に誠意ある対応を求めている。事業中止の場合は少なくとも6カ月前に書面で通知する約束になっていた。だが、中止は2021年時点の「県有施設のあり方見直し委員会」へのリスト入りから一方的に決まったと主張する。アンテナショップ閉鎖は、地元紙で大々的に報じられ瞬く間に既成事実になっていったとさえ思っている。
自らが手掛ける事業の行方を、ビジネスパートナーではなく新聞報道で知らされたようなものだ。その不手際を糊塗するかのような副知事の怪しい動き。そして、現在もなお「ぐんまちゃん家」の事業停止、業務委託契約の解除は、書面の形をとって「田プラ」には届いていないという。彰一と「田プラ」の困惑は続くが、群馬県と「田プラ」の業務委託契約は2023年3月いっぱいで切れた。
いうまでもなく円満とはほど遠い契約満了。「田プラ」は、「県側による業務委託契約の一方的な中途解約」であり「著しく信義に悖る」と憤りを隠さない。
あまつさえ、彰一の耳に「山本知事や宇留賀副知事が田プラと訴訟沙汰になっていると吹聴しているが本当か」という俄かに信じがたい話が飛び込んできている。親子2代にわたって地元群馬県のためにという一心で奮闘してきた彰一には、今の状況はとても信じられないことだ。