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高い選球眼と一流の技術、そして栗山監督が知る“弱点”

 異様に高い出塁率を誇ることから、ファンの間では“出塁率お化け”と敬意を込めて呼ばれている近藤。

 そのお化けぶりは代表の強化試合から遺憾なく発揮された。本番までの6試合で14打数9安打を放って打率6割4分3厘。ただ真骨頂はそこではない。その間に6つの四球を選んで、出塁率は驚異の7割5分という異能を発揮して本番に突入した。

 高い選球眼と一流の技術を持つからこそなし得るこのお化けっぷりだが、それがむしろマイナスに働いてしまうこともある、と指摘していたのが栗山英樹監督だった。

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栗山監督 ©️鈴木七絵/文藝春秋

 3番候補だった鈴木が抜けて、開幕直前に打線の大幅な組み替えを強いられた。そこで出塁率の高い近藤の1番起用を推す声があった。しかし監督と選手と立場は違うが、ともに2012年に日本ハム入り。「僕と近ちゃん(近藤)は同期入団。ずっと一緒に戦ってきた」と語る指揮官は、近藤の出来すぎるが故の欠点も知っていたのである。

「オレずっと近ちゃんとやっていて、そこ(1番)じゃないタイプ。1番を打たせるとあまりにボールを見ようとし過ぎて、逆に彼のバッティングができなくなってしまう」

 そこで当初は2番を予定していた大谷を3番に下げて、ヌートバーと大谷を繋げる2番として近藤を抜擢した。言ってみれば近藤の才能を適材適所で活かすために、大谷の打順をあえて変更した訳である。

5回には先頭打者で右越えのソロ本塁打。大谷が出迎えた ©️時事通信社

 その狙いが見事にはまり、鉄壁の上位打線が出来上がった。