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日系選出選手に出た”異論”を完全払拭 ラーズ・ヌートバーの気迫と「0.19秒」

日系選出選手に出た”異論”を完全払拭 ラーズ・ヌートバーの気迫と「0.19秒」

2023/03/10
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 たっちゃんが日本人を虜にする。

「タツジッ! タツジッ!」

 東京ドームに響き渡る異例の“たっちゃんコール”。その中で背番号23の代表ユニフォームを着たラーズ・ヌートバー外野手が、日本の大会初勝利への先導役を果たした。

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©️鈴木七絵/文藝春秋

 いきなりだった。

「1番・センター」で先発した1回の打席。その第1球を迷いなくスイングした。

「あの第1打席の初球というのは、私自身が持ち望んでいたものでした。結果的に運も味方してストライクゾーンの、自分がスイングしようとしていたところにきて、相手内野手の間にボール飛んでくれた」

 こう振り返った打球は、二遊間を破りセンター前に抜けていくチーム初安打となった。そして無死満塁から村上宗隆内野手の押し出し四球で最初のホームも踏む。チームの初得点もまた、ヌートバーによって刻まれた。

©️鈴木七絵/文藝春秋

 ただ、活躍はそれだけではない。

 序盤は塁を賑わせながら、なかなか追加点が奪えない重苦しい展開。そんな嫌なムードを断ち切るきっかけを作ったのもヌートバーの気迫のプレーだった。

栗山英樹監督も大絶賛「あれが流れを呼んだ」

「少しでも緩めたらセーフにならない。(全力疾走は)日本野球の原理原則。あれが流れを呼んだ」