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イタリアではマイナーな“ベースボール”…G.G.佐藤が現地で彼らに「なぜ野球をするんですか?」と聞くと…

「アマチュア中心」だったチェコ代表の健闘は日本中の注目を集めた ©文藝春秋/佐貫直哉

 さて1次ラウンドで日本と対戦したチェコの存在が世間の話題になったが、ヨーロッパの野球シーンを知る上で、イタリア国内の野球の認知度というのはどれほどのものなのだろうか。

「まあサッカーがすべてのお国柄なので、ほとんどの人は知りませんよね。サッカーはイタリア語で“カルチョ”って言うんですけど、ベースボールを表すイタリア語はなくて“ベースボール”のまま。試合がある日は球場にルールが書かれたポスターが1枚張られているんですよ。まあ1枚で済むほど簡単なルールではないはずなんですけどね(笑)。

 その昔、ローマ辺りに駐屯していた米兵が野球を広めたという話で、どちらかというとイタリア南部のほうが認知度はあるようです」

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 聞けばイタリアリーグは別の職種を持つ兼業プレイヤーが多いという。佐藤氏もそういった人たちと数多く接してきた。

「銀行員から学校の先生、医者や保険の営業マンまで多種多彩でした。なぜマイナーなスポーツの野球をやるのか訊くと、テレビでメジャーリーグの放送を見て『こんな面白いスポーツがあるのか!』って衝撃を受けて始めるみたいなんですよ。だからお金は稼げなくても野球が好きで好きでたまらない人たちがプレーをしているんです」

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 ある意味、牧歌的な世界が広がっているイタリアの野球事情だが、最近は異国で上を目指す選手も増えてきているという。

「メジャーを目指したいと思い、実際にアメリカに渡る若い子もいれば、またかつてオリックスで活躍したアレッサンドロ・マエストリみたいに、まずは国内リーグで結果を出し、日本でプレーしたいと考えている選手も増えてきているみたいです。WBCにも今回で5回連続出場していますし、だから認知度とレベルは僕がイタリアにいた10年前よりは確実に上がっていると思いますよ」