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「浅野はポストプレーができない」「攻撃は三笘の単独突破のみ」城彰二が第2次森保ジャパンの初陣に下した“シビアな評価”

2023/03/27
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三笘は代表では抜け出ているが…

――長友(佑都)選手と酒井(宏樹)選手が抜けたサイドバックは、城さんにはどう映りましたか。

 左サイドバックの伊藤は、左利きでいい選手なんですけどね。でも、これは前から言っているんですが、ファーストタッチを内側にしてしまうんです。だから、横パスかうしろに下げるしかできない。外に開くようにボールをコントロールできれば、もっといろんなことができるのに。癖なのか、修正しきれていないですね。

 逆に右サイドバックの菅原(由勢)は、良かったと思います。前半21分、浅野に出した縦パスは、非常にセンスがいいですし、攻撃力がありますね。

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――菅原選手は、今回の収穫のひとつでしょうか。

 攻撃のセンスがあるし、堂安が外に開いて菅原が内に入って来る動きとか、堂安が下がると菅原が出ていくなど、ふたりの関係性、バランスはよかったです。

 ただ、守備の面では、粗さが目立ったかなと思いますね。彼は、守備のシーンでスライディングにいくことが多かった。スライディングは、守備としては最終的な判断なのですが、彼の選択は最初からそれなんですよ。スライディングしてかわされるシーンも何度かあったので、そこは粘り強いディフェンスが求められます。ただ、これは修正できることなので、今後も見てみたい選手です。

アンダーカテゴリの日本代表でも活躍していた菅原 ©文藝春秋

――同点ゴールを決めた西村選手は、どう見ていますか。

 途中交代で入って、E-1以来の代表で結果を残したのは、非常に大きいですね。練習通りのプレーでしっかり点が取れたことは、自信にもなったと思います。その後のプレーもがむしゃらに相手に向かっていっていたし、点を取ったことで他の選手もうかうかしてられないと思うので、今回は日本代表によい風を吹かせてくれたんじゃないかなと思います。

――個人では、三笘選手がボールを持つとスタジアム内の歓声がすごかったですね。ボールを持つと何かをしてくれそうな雰囲気がW杯時よりも大きくなった感があります。

 三笘がさすがだなと思ったのは、雨でスリップするコンディションの中でもボールコントロールをしていたところです。ドリブルで仕掛けてなんとかチャンスを作っていくという部分は代表では抜け出ている感がありますね。

 ただ、物足りないのが周囲とのコンビネーション。ブライトンでは周囲との連係がすごくよくなっていて、足元だけじゃなく裏でボールをもらえたり、ワンツーで抜けたりしているんです。今後、三笘が日本代表のエースになり、引っ張っていくならもっと周囲に要求をしないといけない。ドリブルに行く際、こっちに出てこいとか、ここで顔出せとかを言っていかないと三笘自身の成長もないと思います。