新庄監督は「徹底的にプロフェッショナル」中嶋監督は「ベストの能力を引き出せる」
のちに巨人、西武でもプレーした。「どのチームも素晴らしい経験」とは言うが、日本ハム時代の記憶は特別だ。「新庄さんはスーパースターでした。私はロッカーが近かったんだけど、とにかく徹底的に、プロフェッショナルな準備をしていたのを覚えています。いつもリラックスした、前向きな空気を発していたね」。監督就任にはさすがに驚いたというが「素晴らしい仕事をしてくれるはず」と2年目に期待を寄せた。
相棒にも恵まれた。ほぼ「専属」として起用されていた中嶋聡捕手だ。「中嶋さんは素晴らしい選手であり、コーチです。彼は本当に選手をよく理解して、チームのベストの能力を引き出すことができます。日本での私の成功の、大きな部分を占めています」。現在、オリックスの監督として成功しているのも、当然だと言わんばかりだ。激情型のマイケルにとっては、どんなピンチでも自分の能力を信じ、引き出してくれた中嶋とのコンビが必要不可欠だった。
そして忘れられない投手がいる。「ダルビッシュがもう一度、WBCで投げるところを見たいんだ」。豪州代表に帯同できていれば、久々の対面があったはずなのが惜しまれる。大会前から「チームとファンにとって大きなプラスになるだろうね。ダルビッシュの投球を見るのは楽しいしね」と言っていた。確かにダルビッシュは、グラウンドの内外で侍ジャパンの支柱となった。ではマイケルは今回のWBC、日本と豪州をどんな思いで見つめていたのだろうか。
「私は日本と豪州のハーフだから、いつもちょっと『引き裂かれている』感じがあります。個人的には、いつも両国を応援しているよ。あとは妻がアメリカ人なので……。3カ国を応援しなければならないんだよね」。日本は米国と決勝を戦い優勝。豪州は韓国を破るなど快進撃を見せた。中村家もきっと、WBCを満喫したことだろう。
マイケルが日本でプレーして得た経験値は、豪州球界の財産でもある。府中で合宿していた豪州代表の投手に話を聞くと、昨秋にコーチを務めた際、マイケルは様々な経験を伝えていたのだという。3年後に予定されるWBCに、コーチとして参加することはあるのだろうか。マイケルが育てた投手が日本のファンを沸かせることがあれば、まさに恩返し。そんな場面を、どうしても期待してしまう。
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