「よろしくね」の先に「たのむよ」はある
放送席からスタンドへ戻る途中、ありがたいことに何度か大阪在住のリスナーさんに声をかけられた。番組内でこの日程で大阪に行くことは告知していたので、気づいてもらえたようだ。
関西にもファイターズファンのリスナーさんがいる喜び、そしてバファローズのレプユニを着ている方にも声をかけてもらえる驚き。バファローズ戦のラジオ中継を、radikoを使って聴いていて、その後に私の番組も聴いて下さっているそうだ。そうか、関西のラジオ中継はタイガースが中心なのか、バファローズファンの方は大変だ。
お話をしていると、その会話のほとんどに江越選手が出てきた。
「よろしくお願いします」「たのみますね」。関西のチームの選手という括り、地元の選手としてバファローズファンも送り出したのが江越選手。そう思うと彼には大勢の味方がいてその気持ちを北海道に送っているのだと肌で感じた。
試合の後、通天閣そばの串揚げ屋さんへ団体で移動した。レプリカユニフォームも着たままに貸し切りバスを降りて商店街を店へと歩く。
大阪という土地柄だろう。「日ハムや」「どこから来はったん?」「今日はどっち勝ったん?」、すれ違うタイミングで地元の方が声をかけてくれる。そして、ここでも聞こえる、「えごしをよろしく」「えごしたのむで」。
最初の2年は主力だった江越選手、その後の姿をタイガースファン、関西の人たちはもどかしく思っていたんだろう。この先も野球を続けるならトレードも仕方ない。「よろしくね」の先に「たのむよ」はある。その人をより思っているから出るフレーズ、「たのむよ」「たのむで」。SNSとはまた違う、気持ちの乗った言葉を大阪で私は耳で直接受け取った。江越選手のプレーの度に思い出す「音」になりそうだ。
ファイターズからバファローズへ移籍した石川亮選手にも思いを馳せた京セラドーム大阪だった。でも私が「石川亮選手をたのみます」とバファローズファンに言う機会は訪れなかった。
来たるイベントのポスターが京セラドームの中にたくさんあった。そこに微笑む石川亮選手を見た。その前で記念撮影をするバファローズファンを見た。
ショップに行けばタオルもキーホルダーも私の目の前で次々と売れていた。もしたくさんあるようなら爆買いしよう、石川亮選手のためならば出せるだけ出す、と思っていたのに、それは余計なお世話中の余計なお世話だった。ほっとした。棚に3つしか残っていないキーホルダーをバファローズファンのふりをしてひとつ買ったことはどうかあなたと私の秘密にしてほしい。
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