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ベイスターズの優勝をこの目で早く見たい個人的な理由〜1998年、悲しい雨の記憶

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/06/14
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 10月8日はバイトが入っていました。急に休むなんてこともできません。正午から夜8時までのシフト。9時すぎまで普通に試合が行われていれば、仕事を終えて、ハマスタや横浜駅のパブリックビューイングには間に合うだろう。夕方6時以降、仕事中でありながら、お客さんがいない隙に、ちょこちょこと売り場のバックヤードに入って、ラジオで試合経過を確認していたことは、内緒です。

 無情にも、試合展開が速い、ものすごく速い。ビジターの甲子園球場とはいえ、時間とともにベイスターズファンが増え、左半分が埋まるという異様な雰囲気の中、試合はどんどん進みました。

 私は、8時の閉店後、急いで片付けと着替えを済ませて、銀座のデパートを後にしました。駅へ向かう足取りは、「♪横浜特急、銀“座”を走る~」で、有楽町駅まで全力疾走。新橋で東海道線に乗り換え、少しでも早い帰浜を目指しましたが、どんなに気持ちが急いでも、「♪駆け抜けるダイヤ“どおり”」と、東海道線はダイヤ通りに走るだけ。当たり前です。

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 有楽町駅に着いたときは、まだ阪神がリードしていましたが、8回表満塁のチャンスに進藤選手。ラジオの電波がとぎれとぎれになる中、打ったあ! 1、2塁間……ぎゃくてーん!!というニッポン放送深山計アナウンサーの実況が聞こえました。やった!と思ったのと同時に、これでもうまもなく決まってしまう、という複雑な気分。

 私が乗った東海道線は川崎駅を出ました。9回裏ツーアウト、バッターは現日本ハム監督の新庄さん。「ツースリー、第6球投げた……やった38年ぶりの優勝だぁ! 佐々木、谷繁抱きついた……駒田が上からポンポン頭を叩いた……」と、雑音交じりに聞こえてくると、私は泣きました。嬉し涙か、悔し涙か。横浜駅東口にようやくたどりついたときには、権藤さんの優勝インタビューの最中でした。振舞われた祝酒は半分やけ酒に。

 このメンバーなら、また優勝をすぐに見られる。

 そう思っているうちに、球団歌、熱き星たちよの「♪いつでもWinning Stars」という歌詞が「いつでも“ビリ”スターズ」に聞こえるようになり、いつの間にか25年が経過。優勝を早く見たい、もう待てないんです! 

98年優勝に思いをはせる筆者 ©檜山靖洋

梅雨どきに調子が上がるかがポイント? 活躍する選手は?

 1998年シーズンも、2位だった昨シーズンも、調子が上がってきた6月下旬を迎えます。今シーズンのベイスターズは、晴れの日9勝8敗1分、曇りの日12勝3敗、雨の日2勝3敗、ドーム球場8勝10敗で(檜山調べ・6月12日現在)、曇りの日の勝率が極端に高くなっています。梅雨どきの曇りの日を利用して、大きな連勝をしてほしいところです。

“村神様”のヤクルトの追い上げに気を付けながら、“阪神様”を追いかけ追い越したい。きっと、伊勢大明神や“神”里選手が活躍してくれることでしょう。そして、“神”茶谷投手が、キーマンになり、優勝への道を進むでしょう。以上、ベイスターズ予報でした。

 どうか、天の神様、いや、天気の神様お願いします。私に、この目で、優勝の瞬間を見せて下さい! そして、今回の文春野球“ライバル”の田中美都さんとの気象予報士対決、天気の神様はどちらに味方するのでしょうか!? 

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