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ベイスターズの優勝をこの目で早く見たい個人的な理由〜1998年、悲しい雨の記憶

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/06/14
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 絶対に負けるわけにはいかない戦いです。

 去年の夏の話です。私が“本業”で出演しているおはよう日本では、気象キャスターは私と、主に中継を担当している近藤奈央さんと2人で出演しています。近藤さんが夏休みを取るときは、ゆう5時に出演している田中美都さんが代打で出ました。代打田中さんは、何を思ったか、ファイターズのユニフォームを身にまとい、テレビの画面に映っていました。そんな野球大好き気象予報士二人がいつか文春野球で対戦するのは必然だったのかもしれません。いつもは心強いNHK気象班のスタッフのヒット数は、今回ばかりは2人に同じヒット数が加わることでしょう。差をつけることができません。厳しい戦いが予想されます。

 そしてこちらも絶対に負けられない戦いでした。

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「10月8日」

 私の記憶に刻まれたその日は、人生の中で、誕生日、結婚記念日と並ぶ、大切な記念日のひとつです。10月8日と聞くだけで、あの日は……と興奮気味に語りたくなります。

 その日を家で迎えた私は、ドキドキしながら画面を見つめた。見たいような、怖くて見たくないような気持ちで。1997年、本気で掴みに行くぞ!と、その気になった。何度も挫折しそうになりながらも、ついにその日が来た。

 気象予報士試験に合格したのです。1999年10月8日のことです。

 10月8日は、私の気象予報士合格記念日です。インターネットで合格発表が見られたので、自宅のパソコン画面をドキドキしながら見つめていました。ちなみに、1997年は、気象予報士試験対策の講座を受け始め、本気で気象予報士を取る!と決意した年です。難しい問題に挫けそうになりながら、およそ2年で実りました。

 私にとって「10月8日」は、Wに特別な日です。もちろん、ベイスターズの優勝記念日でもあるからです。

 1997年の悔しい2位から、次は優勝だという機運が高まりました。あの1998年の歓喜をもう一度。昨シーズンからの流れは、あの時に似ています。6月3日~5日にかけて「GET THE FLAG! SERIES 2023」が行われました。このイベントに来日したローズさんが優勝を連れてきてくれる、そんな風にさえ思いました。

38年ぶりのセ・リーグ優勝を決め、谷繁元信と跳び上がって抱き合う佐々木主浩 ©時事通信社

悲しい1998年の優勝物語 ~雨とYBと私~

 実は、1998年の優勝の瞬間を、私はリアルタイムで見ることができませんでした。

 当時、私は銀座のデパートでアルバイトをしながら、気象予報士試験に向けて勉強をする日々でした。胴上げを現地で見たいと思い、10月3日から6日のハマスタでのヤクルト4連戦のうち、5日、6日のチケットを取っていました。マジック3でこの4連戦を迎えたので、3戦目、4戦目には優勝が決まるだろうと。私は、マラべ選手にだけでなく、自分自身にも「♪限りないパワーを感じ」ていたので、目の前で優勝を見られると信じて疑いませんでした。開幕戦で活躍したマラベ選手は、もういませんでしたが。

 ところが、前年優勝のヤクルトが立ちはだかります。初戦、2戦目、3戦目と3連敗。それでも、4戦目、佐伯選手が3ランを放ち、ライトスタンドに向かって何度も見せたガッツポーズと、「マジック3の呪いが解けた」と語ったヒーローインタビューは、私の記憶に焼き付いています。これでマジックが2になりました。地元胴上げが叶わなくても、7日の甲子園球場の阪神戦では決まるだろうと、7日の夜も予定を開けていました。

 しかし、天は……天気は、気象予報士を目指す私をあざ笑うように、完全に私を見放しました。10月7日、雨天中止で翌日に順延。この日、2位中日が負けて、マジックはついに1となりました。

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