連続強盗事件の指示役「ルフィ」との関連が疑われる特殊詐欺グループで、「かけ子」をしていたとみられる熊井ひとみ容疑者(25)と藤田海里容疑者(24)ら4人が24日、フィリピンから移送され、逮捕された。
熊井容疑者と藤田容疑者は同居生活を送っていたというが、2人はなぜ犯罪に手を染めてしまったのか。彼らの“転落人生”を詳報した当時の記事を再公開する。(初出2023年3月18日、肩書き、年齢等は当時のまま)
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「ひとみさんはミスコンに出てから人が変わってしまいました。その後はパパ活もやるようになって…」(熊井容疑者の知人女性)
文春オンラインの取材にこう声を潜めるのは、一連の大規模特殊詐欺事件に関わったとされ、新たに逮捕された熊井ひとみ容疑者(25)の大学時代の知人女性だーー。
3月10日、一連の大規模特殊詐欺事件で、日本人2人がマニラで拘束された。フィリピン入国管理局の逃亡者捜索担当者によって身柄を拘束されたのは、熊井ひとみ容疑者(25)と藤田海里容疑者(24)だ。2人は一緒に生活していたとされ、昨年9月に窃盗容疑で逮捕状が出され、指名手配中だった。
「2人は、フィリピンを拠点とした大規模特殊詐欺事件で先月、ビクタン収容所から強制送還された『ルフィ』こと渡辺優樹容疑者(38)らの犯罪組織の一員と見られています。熊井容疑者は現地から電話をかける『かけ子』役で、藤田容疑者はそれらかけ子のまとめ役を担っていたとされています」(社会部記者)
拘束された若い男女2人にはそれぞれの“夢”があったが、熊井容疑者は“パパ活”に溺れ、藤田容疑者は“カード地獄”にハマっていたという。なぜ彼女らは“闇”に加担することになってしまったのか。
大人しかった性格が、“フレキャン”に出て一変
熊井容疑者は三鷹市で生まれ、両親と姉、兄に囲まれて育った。近隣住民は「ひとみちゃんの祖父の代にこっちの方に引っ越してきて、裕福な家庭のイメージですよ」と家庭環境について問題を感じる節はなかったという。
地元の小・中学校を卒業し、実家から少し離れた高校に進学を決めた。それまでの熊井容疑者の印象は「大人しくて愛想のいい、目立って前に出て何かをするタイプの子ではなかった」と同級生らは口を揃えて言う。
しかし、都内の美術大学に入ってからの熊井容疑者の印象は全く違うものへと変わっていった。当時、同じキャンパスに通っていた知人女性が明かす。
「私は1浪して入学。ひとみさんは2浪して入学して来ました。なので、年が1つ上だったから敬語で話していると『全然タメ語でいいよ』と優しく接してくれました。浪人生が多い大学でしたが、ひとみさんは集まりでも年上の扱いをされることが多くてどこか馴染めていない様子でした」
それでも熊井容疑者は気さくに交友関係を広げ、学業にも熱心に打ち込んでいたという。しかし、大学1年の中期頃から熊井容疑者は少しずつ変わっていく。
「周りに勧められて《ミスフレッシュキャンパス》に参加を決めて、エントリー審査に受かった頃からひとみさんは変わっていきました。SNSで積極的に発信するようになり、自分を露出することに時間をかけるようになって、どんどん可愛くなっていきました。ただ、その反面、学業はおろそかになっていって……」(同前)
熊井容疑者は見事ファイナリストまで駒を進めたが、課題は出さなくなり大学にも顔を出さなくなった。“フレキャン”が終わっても周囲からの注目を求めて、動画配信アプリ「SHOWROOM」での配信やモデル活動に力を入れ始めた。知人女性が続ける。