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「50歳をすぎたら"節約"をする必要はない」お金を貯めるためにストレスを溜めている人の残念な人生

source : 提携メディア

genre : ライフ, 経済, ライフスタイル

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ところが、後ほど詳しくお話ししますが、節約するのと無駄をなくすのとは全く意味が違います。そのあたりが深く考えられないままに、節約することだけが取り上げられているのは、正直言ってあまりいい傾向ではないと思っています。なぜなら、世の中で一般的に取り上げられている節約というのは実はあまり意味がないものが多いからです。

意味のない節約が多すぎる!

節約指南本にも出てくる誰もがよく知っている節約は、風呂の残り湯を再利用しようとか、家の電気をこまめに消そう、あるいは、使わない電気器具のコンセントを抜いておこうといったものです。たしかにそれでいくらかの節約にはなるでしょう。でも、家計全体から見れば本当に微々たるものです。

例えば大阪市水道局のデータによれば、風呂の残り湯を180リットルとして、半分の90リットルを洗濯・掃除・散水などに使った場合、月に489円の節約になるということです。2020年の一般勤労世帯における月間の支出総額は約36万円ですから、その金額の割合は0.13%にしかなりません。

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電気代にしても、エアコンや蛍光灯の電源をこまめに入れたり消したりする方がむしろ電気代がかかるということも言われています。それに、その手間と労力というコストもかかっています。せいぜい月に500円程度なら、毎日会社帰りにコンビニへ寄るのをやめた方がよほど効果が大きいと思います。

ただ、水道代にしても電気代にしても、「こんなに頑張って節約しているんだ」という精神的な効果はあるでしょう。企業でもありがちです。不況で業績が悪化してくると「コピーは裏紙を使え」だの「トイレットペーパーはダブルではなくシングルにしろ」といったことが社内で言われます。これも実は支出の削減にはほとんど何の効果もありません。ただ、社員の意識を高めるというそれだけの効果でやっているのです。企業がちゃんとコストを下げようと思うのなら、本来であれば製造コストの引き下げや業務プロセスの合理化を進めることが不可欠です。ところがこれらは時間もかかりますし、すぐに成果が見えません。そこで「コピーは裏紙!」というわかりやすい指示になるのです。これではコスト削減を真剣に考えているとは言えません。家庭の電気代や水道代も同様です。