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「罰ゲームのような環境で子どもを産んでも見合うほど得るものがない」異次元の少子化は女性たちの声なき主張

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genre : ライフ, 社会, ライフスタイル, ヘルス

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直近5年、少子化が異常な勢いでスピードを上げた

それが……! 2016年以降、少子化は再加速を始め、たった3年で90万人台を割ります。80万人台も同様に3年で通り過ぎ、2022年にはなんと70万人台に落ち込み。120万人割れから100万人割れまで17年もかかったのに、100万人割れから80万人割れはたったの6年、つまり3年で10万人の減少となります。

1975~1989年の第1次減少期は2年で10万人の減少とペースはこの時の方が早いように見えますが、ただ、当時は出生数の母数が今よりはるかに大きかった。だから減少率にすると、年間当たり2~3%程度にとどまります。対して直近6年の減少率は、5~7%にもなる。少子化が異常なほどの勢いで、スピードアップしているのがわかるでしょう。

現状の出生数は、第2次ベビーブーム世代の3分の1程度になっています。果たしてこれから産まれる新生児たちは、将来、自分の3倍もの祖父母世代を扶養できるのでしょうか?

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男女とも“総活躍”しても全然足りない

雇用や社会保障を考える上で、昨今の少子化とは様相を異にする状態です。

長らく日本の産業界は性別役割分担の下、男が働き女が家を守るという、男型産業社会でした。極論すれば、産業界は「男手」だけで成り立っていたと言えるでしょう。それが、少子化の深刻化とともに、社会は女性の労働を求めだし、パート労働→正社員労働→総合職雇用→管理職登用、と日に日に女性の取り込みを広げてきました。

仮に、この先、希望する女性をすべからく労働に誘うことができたとしましょう。

そうすれば、かつて人口は多かったけれど、社会はその半分の男しか使いこなせていなかったのですから、人口が激減した昨今でも男女ともに労働参加ができれば、生産力を維持できるはずです。こうした考えの基、数年前に「一億総活躍」などと呼ばれた社会シフトが起きたのでしょう。

ただ、それは出生数が半減レベルまでの対応策にしかなりえません。男女ともに働いたとしても、男だけ働く社会に対して、その労働量は2倍にしかならないのですから。年間出生数がかつての3分の1にまで落ち込んだ現在の状況では、もう、「総活躍社会」でも、帳尻が合わなくなり始めている……。少子化が異次元とまで呼ばれるその深刻さを、今一度、心しなくてはなりません。

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