1ページ目から読む
2/3ページ目

「妻のいる章平被告から距離を置くように」

「5月に結婚して以降も章平被告はAさんに好意を持ち、連日SNSでビデオ通話や性的なやりとりを続けていた。Aさんはこれに応じていたが、次第に、妻のいる章平被告から距離を置くようになった」(同前)

 新婚の男性と性的な内容を含む交流は控えたいと考え、Aさんが章平被告から距離を置くのは自然な考えであろう。だが章平被告はAさんに「裏切られた」という思いを抱いた。そして常軌を逸した“復讐”を計画するのである。

「Aさんと性的行為に及び、その動画を撮影して口止めする」。しかも章平被告はこれを、まず和美被告に相談したのだという。ところが和美被告は反対するどころか「愛されたいという思いや嫉妬、悪感情から賛同」(同前)。ともにSNSでAさんに「両親に手紙を書く」「家族を巻き込む」と脅した。この結果、事件の1ヶ月前、Aさんは章平被告と初めて都内で対面し、夫妻の“復讐”が果たされた。

ADVERTISEMENT

小森章平被告 ©文藝春秋 撮影/宮崎慎之輔

 その後、Aさんと章平被告はスカイプで長時間通話し、この日をもって関係を解消することに決め、Aさんは章平被告のアカウントをブロックした。ところが章平被告は「すでに2年間親密な関係にあったため、なかなか気持ちを断ち切れないまま不安定になった。連絡が取れなくなったことで逆に連絡したくなり、昔の暴言などを謝って欲しいと思うようになった」(章平被告の弁護人冒頭陳述)のだという。

たまたま見つけた小屋へ連れ込み…

 話し合いの上でAさんとの関係を解消したはずが、章平被告の逆恨みはその後も止まらなかった。そして事件を起こす。

「“章平に接触しない”と約束する書類を書いて欲しい」

 和美被告がそんな言葉でAさんを呼び出した。1人で来ないと先日の“復讐”で撮影した画像を家族に送る……と、脅しも交えていた。待ち合わせ場所に来たAさんを車に乗せ、渋川市の自宅に連れ込む。夫妻は自宅の一室に、南京錠を取り付けるなど、あらかじめ準備をしていた。1日ほどAさんを監禁したのち、3人で自宅を出発。山梨県を走行中、たまたま見つけた小屋に連れ込んだ。

「2人はこの時点までに、章平被告は口封じや逆恨みの感情を、和美被告は口封じ、嫉妬、悪感情により、Aさんを排除し、章平さんの愛を自分に向けさせたいと思っていた」(検察側冒頭陳述)