2021年、当時18歳だった女子高校生Aさんが山梨県の小屋で殺害されているのが見つかった事件で、殺人罪などに問われた小森章平被告(29)・妻の和美(いずみ)被告(30)の裁判員裁判初公判が6月2日に東京地裁(染谷武宣裁判長)で開かれた。
逮捕当時の警察の取り調べに対して、和美被告は「夫と親密だと思い、Aさんに会わないでくれと言った」と供述。章平被告は「妻に嫉妬された」と話していた。だが初公判冒頭陳述で和美被告の弁護人は言った。
「章平さんを守りたい。逮捕時、その一心で嘘をつきました」
事件は和美被告の嫉妬だけで起こったのではない。章平被告による“逆恨み”があった。当時の和美被告はそれを隠していた。
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「間違いありません」夫妻は起訴事実を認めた
事件は2021年、8月の終わりに起きた。起訴状によれば、群馬県渋川市に住んでいた夫妻は、東京都に住むAさんをわいせつ目的で呼び出したうえ誘拐し、山梨県内の小屋でAさんの首をロープで絞めたのち、背中を刺して殺害したという殺人と銃刀法違反、わいせつ略取誘拐の罪に問われている。
証言台の前に並んで立った夫妻は罪状認否でともに「間違いありません」と起訴事実を認めたが、和美被告のみ「完全責任能力がなかった」として犯行当時は心神耗弱状態にあり刑を減刑すべきであると主張した。章平被告は細身の体にグレーのスーツ、伸びた坊主頭。和美被告はふっくらした体型に紺色のジャージを着て、長く伸びた黒髪を後ろで無造作にまとめていた。
夫妻とAさんはツイッターを介して出会った。先にAさんと交流していたのは章平被告だった。
「2019年に章平被告とAさんが知り合い、複数のSNSを使って交流していた。お互い名前を伝え、Aさんは自分が高校生であると章平被告に伝えていた。2人はSNSで好意を伝えたり、性的なやりとりをしていた」(検察側冒頭陳述)
夫妻はその翌年である2020年に、同じくツイッターで出会った。翌21年には章平被告の実家で同居を始め、5月に結婚。7月には渋川市の一軒家で二人暮らしを始めたものの、章平被告は無職のまま。和美被告はコンビニでアルバイトをしていた。事件を起こすのはその翌月だ。