こうしてロープでAさんの首を絞めたのち、血を浴びないよう、うつ伏せに倒れたAさんにカーペットを乗せ、刃渡り約19センチメートルのサバイバルナイフで背中を4回刺して殺害した。
夫をかばうほど依存していた妻
和美被告の弁護人は冒頭陳述で、和美被告が主導した事件ではないと訴えた。
「“嫉妬に燃えた私が計画を立てて旦那に協力させた”と逮捕時に供述していたが、これは嘘。真実は章平さんの、Aさんへの執着心。その章平さんを庇うほど彼に依存していた」(和美被告の弁護人による冒頭陳述)
さらにこう続けた。
「背景には和美さんの生い立ちが関係している。母親はとても厳しく和美さんを支配し、小学校から20歳まで、名前ではなく侮辱的な名で呼んだ。高校1年生の頃からは、実の父から性的虐待を受けていた。ほぼ毎日性的なおもちゃとして虐待を受け続け、人格が未熟なままとなった。前の夫からDVを受けていた自分を助けに来てくれた章平さんに依存した」(同前)
新婚の夫が、女子高校生に執着し、距離を置かれたことから“復讐”……妻は依存心からそれを止められなかったのか。逮捕前の夫婦はVtuberとして活動しており、和美被告は自身のアカウントで2021年8月、妊娠3ヶ月であることを公表していた。
〈ここ最近の体調不良に病院へ診察へ行きました。結果としては新しい命が私の中に生まれていました。3ヶ月だそうで予定日は3月くらいになりそうです。〉
逮捕後、和美被告は死産している。
Aさんは臨床心理士になりたいという夢を持っていた。Aさんの母によれば「高校2年のとき、新しい環境や進路への不安などから精神科に通った際、臨床心理士のカウンセリングによって救われたという経験があった」からだという。
“人の心を救いたい”……その夢の実現のため、大学への進学を希望していたAさんの命を奪った夫妻。被告人質問では「取り返しのつかないことをした」と語った和美被告。章平被告は自身の“逆恨み”が起こした結果について何を語るのか。