悠仁さま「追突事件」の重み
「2016年11月には神奈川県相模原市緑区の中央自動車道下り線相模湖インターチェンジ付近で、山梨県へ山登りに向かう途中だった秋篠宮妃紀子さまと、当時まだ10歳だった悠仁さまが乗られるワゴン車が、前を走る乗用車に追突する事故が発生しました。当時、現場は渋滞中で、追突されたのは最後尾で停車していた車でした。お二方に怪我はなく無事でしたが、この際も処分すべきか怠慢の有無が検証されたようです。
ただ、実害はなく、当時の秋篠宮家はあくまでまだ一宮家だったということもあり、処分が行われることはなかった。だが、そもそもの警衛体制の脆弱さを露呈した事故でした。将来の天皇が乗車された車が追突事故を起こすなど言語道断です」
皇室の方々が車で移動される際、天皇皇后両陛下や上皇ご夫妻の場合は白バイなどが先導し、後方に警備の警察車両が付いて信号も全てが青信号になるが、他の皇族方には警察車両1台が後方に付くだけで、一般車と同様に赤信号で停車する。事故当時、悠仁さまの車両は一般車両と同じ扱いだったのだ。
お代替わり直前の2019年4月には、無職の男が、悠仁さまが通われていたお茶の水女子大学附属中学の校門付近の監視カメラの配線を切り、工事業者を装ったヘルメット姿で校舎に侵入。無人だった教室に入り、包丁2本を両先端に固定した棒を悠仁さまの机の上に置くという事件が起きた。これが新約聖書や人気アニメ「エヴァンゲリオン」に登場する「ロンギヌスの槍」に似ていると警察内部でも話題になった。
その後、警視庁に逮捕され、建造物侵入や銃刀法違反などの罪に問われた男は、東京地裁で懲役1年6月執行猶予4年(求刑懲役1年6月)の有罪判決を言い渡されている。判決理由で東京地裁の楡井英夫裁判長は、「皇族制度に対する独自の関心について、自分の行為を誇示して世間に注目されたいという独り善がりの考えから犯行に及んだ」と指摘した。
小室圭さん実家の警備計画
また昨年6月25日には、宮内庁に包丁1本などをレターパックで送り付け、職員の業務を妨害したとして皇宮警察本部と警視庁が愛知県在住のアルバイトの男を威力業務妨害容疑で逮捕している。同封された便箋には支離滅裂な内容が書かれていたとされるが、記載内容には秋篠宮家周辺に対する批判と受け取れるものもあったという。
「ほんの一握りの市民によるものだとは思うが、秋篠宮家の婚約内定問題や皇位継承問題に対する批判の声はこんなにも激しいものだったのか」(前出・警察関係者)
平成の初期に行われた大喪の礼や即位の礼、大嘗祭に際しては、極左暴力集団(新左翼系過激派)によるゲリラ・テロ対策が大きな国家的課題となった。そのため全国警察を指導する立場の警察庁が警衛の陣頭指揮に当たった経緯がある。
しかし、平成13(2001)年9月11日の米同時多発テロ事件を契機に、我が国の警備・公安警察も警戒対象を極左暴力集団のゲリラ・テロ対策から国際テロ対策へと、シフトチェンジを余儀なくされた。
ただ、安倍元首相の銃撃という重大テロ事件の発生を受け、警察庁は昨年11月、皇室や要人の警衛警護を指導・指揮する専従課を新設し、人員を拡大して体制を強化する必要性に迫られた。その結果、警察庁では警備運用部内で警衛室と警護室を独立させ、警衛警護対策に専従する新しい警備第二課として、人員を50人に拡充。警備第二課には警衛指導室と警護指導室を置き、災害対策などを担当していた従来の警備第二課を警備第三課に名称変更している。
「『警衛要則』には、皇室の方々のどなたをお守りするかといった細かい規定はありません。法令によって警護対象として明記されている人物は限られているのです。『警護要則』では内閣総理大臣と国賓だけが明記されている。ただ『その身辺に危害が及ぶことが国の公安に係ることとなるおそれがある者として警察庁長官が定める者』という規定があり、警護細則で『衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、国務大臣、公賓・公式実務訪問賓客、その他警察庁警備局長が定める者』となっています」(前出・警視庁警備部元幹部)
大臣や有力政治家の自宅前にポリスボックスが置かれているケースがあるのも、この規定に基づいている。
秋篠宮家の長女・小室眞子さんとの婚約内定期間中、横浜市内に住む圭さんの実母の警備計画も存在した。
地元警察署関係者はこう語る。
「『内親王の婚約内定者周辺者』ということで、警衛を担当する神奈川県警公安第二課の警衛担当者が差配していました。が、実家前にポリスボックスが置かれる根拠となったのは、警衛要則ではなく警護要則の細則にある『その他警察庁警備局長が定める者』だったようです」