1ページ目から読む
2/3ページ目

 このキャビン・アテンダントの瑠璃は、スタイルもよくナチュラル帰国子女の彼女にはぴったりの役で、最初のハマり役となり、シリーズ化(’97~’06年)された。この役で “制服の似合うインテリ女優”としての地位を固めていく。2000年には舞台『滅びかけた人類、その愛の本質とは…』、2001年にはNHK大河ドラマ『北条時宗』等にも出演。女優としての歩みを着実に進めていった。

花魁として着物を脱がされ、喘ぎ悶える濡れ場に挑み…

 筆者がテレビ誌記者をしている頃、とにかく彼女は女性人気が高く、アンケートの人気投票も過半数が女性からの投票だった。多部未華子、内田有紀といった女性もそうだが、やはり女性人気の高い女優ほど息が長く、演技の評価も高くなる傾向がある気がする。

 そんな彼女の一大転機となったのが、蜷川実花の初監督作品で、土屋アンナ、菅野美穂ら主演・共演の映画『さくらん』(原作・安野モヨコ/’07年公開)だ。江戸時代の花街で働く花魁たちの群像劇で、売れっ子芸者の高尾役を演じた。

ADVERTISEMENT

2007年、映画「さくらん」初日舞台あいさつで。(前列左から)監督の蜷川美花、木村佳乃、土屋アンナ、菅野美穂、(後列左から)美波、安藤政信、椎名桔平

 この作品で彼女は、着物を脱がされ、胸もあらわに揉みしだかれ……喘ぎ悶える、というとても扇情的な濡れ場を演じた。

 失礼な話だが、この作品に激しいラブシーンがあることを知ったとき、あまりにもそれまでのクリーンなイメージとのギャップを感じたのは自分だけではなかったと思う。

 しかし、この映画の記者会見時、木村はなんの屈託もない明るい笑顔で「ラブシーン、頑張りました! ぜひ観てください!!」と語り、実際に映画を観ると印象は覆され、ご本人的にも演(や)り切った、出し切れた濡れ場となったのだろう。この映画以降、存在感に円熟味が増し、何より本人というより、視聴者・観客側の見る目が変わった印象だ。