横浜郊外に引っ越して5年、大きなトラブルに巻き込まれることもなく、近所の住民と仲良く付き合ってきた専業主婦の宮原友子(42)。しかしある日、信頼していたはずのママ友の態度がおかしいことに不安を抱く。一体どうして、いきなり……?
『ママ友にハブられて ぼっち主婦になりました』(三谷美佐子著、秋田書店)は、最近引っ越してきた新しいママ友・鈴木真理子(通称リコちゃん)に目をつけられてしまった友子が、嫌がらせを受けて孤立するという地獄のような体験を描いたコミック作品である。
「ちょっと素敵なブラウス」を着たママ友に嫉妬…
主人公の友子は、正義感が他人より強い「いいひと」だ。夫の仕事が安定していて子どもも1人なので、比較的生活に余裕がある。一方のリコは夫の収入が減り借家暮らし。さらに3人の子供がいるため、生活は決して楽ではない。
そんなリコが、一軒家の「ちょっといいカーテン」のかかった部屋で「ちょっと素敵なブラウス」を着て生活している友子を見て抱いた嫉妬の感情。それが事の発端となるのである。リコは友子の隙を突き、巧みに嘘をついて他のママ友を取り込んでいく。
「嫉妬と嘘。本当に身近な動機と方法なので、共感して読んでくださる方が多いようです。特に反響が大きかった回は、リコが『友子から嫌われている私』を演出するために、PTAの集まりで友子に土下座して大声で許しを請う回ですね。『声の大きい人が勝つ』といいますが、リコの大胆な悪役ぶりは読者の度肝を抜いて、むしろ『アッパレ』と言いたいくらい見事です。リコが悪役として『化けた』ことで、作品が一気に盛り上がりました」(担当編集者の吉野智子さん)
リコの嫌がらせの迫力は凄まじい。その壮絶な内容に、漫画雑誌『フォアミセス』での連載中も様々な反響が寄せられたという。
「ママ友の世界を体験していない方からは『こんなことってあるの!? 中学生じゃあるまいし』という驚きの声がよく届きます。でも、ママ友体験のある方からは『そうそう、こういう人っているのよ』という反響が多い印象です。『マンガほどひどくはないけれど、こんな嫌がらせをされた』とか『実際にハブられた』と、ご自分の体験を語ってくれる方が多いんです」(同前)