安仁屋さんの完全復帰を予想させる衝撃のピッチング
そんな安仁屋さんだが、私の中で、とても印象深く残っているエピソードがある。それは2016年の開幕前に広島で放送された特番。その2年前に引退し、現在は一軍の投手コーチを務める横山さん。彼が3時間の生放送の間にホームランが打てるかという企画が行われ、なんと、そのバッティングピッチャーを安仁屋さんが務めたのである。当時の安仁屋さんは71歳。様々なコーナーの合間に中継をつなぐ形になっていたのだが、正直、横山さんがホームランを打つよりも先に安仁屋さんが投げられなくなるんじゃないか。私だけではなく、おそらく誰もがそう思いながら観ていた。
いい当たりは出る。しかし、なかなかスタンドインしない。最初の方こそ明るい雰囲気で進んでいたが、時間の経過とともに横山さんも疲れを見せ、安仁屋さんの球数も増えていく。2時間が経過。横山さんは手のマメが潰れ、握力も弱まり、テーピングをして必死の形相に。そんな中でも安仁屋さんは横山さんを応援しながら投げ続ける。しかし無情に時は過ぎ、番組も終盤。誰もが諦めかけたその瞬間、ついに横山さんの打球がレフトスタンドへ。驚くことに、生放送終了5分前の出来事。まさに奇跡。感動のドキュメント。しかし視聴者がそれ以上に驚いたのは安仁屋さん。なんと、その投球数は「330球」にまで及んでいたのだ。全力投球じゃないにしても、71歳の人が330球も投げる。考えられないことである。今回、安仁屋さんが救急搬送された時、救急隊員の方に「安仁屋さん強いですね」と言われ、奥様が「涙が止まりませんでした」と話されたということだが、安仁屋さんは強い。いや、むしろ「最強のおじいちゃん」なのだ。
史上初の沖縄出身のプロ野球選手としてカープに入団。引退してからもコーチや二軍監督、解説を続け、カープを、広島を愛してくれる僕らのおじいちゃん。開幕前の「安仁屋算」でみんなを勇気づけてくれる欠かせない存在。せっかくなので、最後に今年の安仁屋算を改めて紹介し、このコラムを終わらせていただこうと思います。
あ、そう言えば安仁屋さん、6月29日に今シーズン初登板、かつ緒方監督時代の飲みニケーション友達の野村祐輔の力投を見て涙が出たと言われていましたね。その次の登板、7月6日。またしても好投して初勝利を飾りましたね。安仁屋算だと、あと7勝。安仁屋さんが期待するなら私も期待しましょう。そして、1日も早くパチンコに行ってください。ちなみにその時に打つ機種はなんですか? 海物語ですか? 北斗の拳ですか? 安仁屋さんが出てそうな花の慶次ですか? なにを打ったか、そして勝ったか負けたか、復帰したラジオで教えてください!
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