2021年8月6日、小田急線の車内で当時20歳の女子大学生3人を包丁で切りつけたとして、殺人未遂などの罪で起訴されていた対馬悠介被告(37)の初公判がきょう始まった。

 動機として「幸せそうな女性を殺したいと思った」などと証言し、社会に衝撃を与えた犯罪の記憶を風化させないため、当時の記事を再公開する。(初出:2021年8月7日。年齢、肩書は当時のまま)

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《え、やばい電車内で包丁持って暴れてる人いる》

《刺されてる人いる。逃げます。みんなパニックになってる。小田急線下り方面快速急行》 

 8月6日20時頃、緊迫したツイートが流れてきた。この時、小田急小田原線の電車内で川崎市多摩区の職業不詳・対馬悠介容疑者(36)が複数の乗客を刃物で刺傷。車内はパニック状態に陥った。

対馬容疑者 ©共同通信

 

車内で牛刀を振り回し計10人を刺傷

「電車に乗り込んだ対馬容疑者は、持っていたトートバッグから牛刀を取り出し、先頭車両(10両目)から7両目に移動しながら乗客を切りつけっていったようだ。実際に切りつけられたのは4人だが、それ以外にも殴られるなどして、男性5人と女性5人の乗客計10人が重軽傷を負っている。

 しかし途中で牛刀の柄が折れたため、トートバッグにいれていたサラダ油を取り出し、周囲に撒いた。チャッカマンで火をつけようとしたが上手くつかず、位置情報がバレないように慌ててスマートフォンを投げ捨て、現場から逃走した」(捜査関係者) 

祖師ヶ谷大蔵駅のホームを調べる警察官 ©時事通信

 現場にはサラダ油の容器とみられるものとチャッカマン、そして犯行に使われたと思しき刃物が落ちていたという。小田急小田原線は7日午前0時15分までに計158本が運転を見合わせ、約4万9000人に影響が出た。

「現場から逃走した対馬容疑者は、その後、祖師ヶ谷大蔵駅から北に4キロほど離れたコンビニに入り『自分がやった。逃げるのに疲れた』などと店員に話しています。店員が110番通報をし、午後10時過ぎに駆け付けた警察官がコンビニで身柄を確保しました」(大手紙社会部記者)

対馬容疑者が“自首”したコンビニ Ⓒ文藝春秋 撮影・細尾直人

 警察の取り調べに対し、「6年ほど前から幸せそうな女性を見ると殺してやりたいと思うようになった」などと語っているという対馬容疑者。これほどの凶行に駆り立てた理由は一体何だったのだろうか。取材を進めると、対馬容疑者の当日の足取りが明らかになってきた。