「常識ある人だと思っていたが…」
対馬容疑者の自宅住所を訪ねてみると、坂を上った先にある閑静な住宅街にたどり着いた。ゆるいカーブの細い道を進んでいくと、2階建ての白いアパートが現れる。アパートの住民によると「家賃は2万5千円くらい」で、対馬容疑者の部屋入り口には洗濯機が置かれていた。3か所に取り付けられた窓にはすべてカーテンがつけられており、中の様子は見えなかったが、一番大きな窓ガラスは激しく割れており、ガムテープのようなもので張り付けられているのが分かる。
取材を進めていくと、対馬容疑者がこのアパートに引っ越してきたのは「少なくとも4年以上前」(近隣住民)だという。近所付き合いをしているような親しい人物はいなかったが、近隣での対馬容疑者の評判は悪いものではないようだった。容疑者と同じアパートに住む住人は驚きながら、こう語る。
「積極的に挨拶をしてくれようなことはなかったけど、礼儀正しい感じの人でしたよ。ただ1週間くらい、深夜2時ごろに家具を倒すような音がしていたことはあって、ちょっと気になる人ではありました。とはいえ大きな物音があったのはこれくらいで、床に粘着シートをコロコロ転がすような音がよく響いていたので、掃除好きなのかなと思っていた。特に大きなトラブルもなかった」
対馬容疑者が大家と一緒に謝罪に来た
対馬容疑者と直接言葉を交わしたことがあるアパートの住民にも話を聞くことができた。その住民も「事件をおこすようには見えなかった」と首をかしげ、こう述懐した。
「一度、アパートで対馬容疑者の部屋から水漏れが起きてしまったことがあったんです。その時に大家さんと一緒に『ご迷惑をおかけしました』とわざわざ謝りにきてくれたのが印象的でね。大家さんに任せてしまってもいいのにね。常識のある人だなと思っていましたよ」
近隣住民の証言からは対馬被告の“異常性”は感じられない。至って普通のどこにでもいる青年だと認識されていたようだ。しかし事件の約1週間前、対馬容疑者が周囲の人々から注目を集めたことがあった。対馬容疑者の部屋から白い煙が上がり、“ボヤ騒ぎ”が起きていたのだ。