講談社の常務取締役で、「週刊現代」の編集現場に強い影響力を持ってきた鈴木章一氏(61)が辞表を提出、6月末で退職することが「週刊文春」の取材で分かった。「週刊現代」編集長人事を巡る混乱と、部下との面談時に女性やLGBTQ+への蔑視、揶揄ともとれる発言があったことが原因とみられる。
鈴木氏は2001~2004年と2009~2012年に週刊現代を率いた名物編集長。2002年(下半期)には週刊誌の実売部数第1位に輝くなどの実績を誇り、編集長退任後も現場への影響力を持ち続けていた。講談社若手社員のA氏が言う。
「役員になってからも編集長を上から操っているという意味で、社内では週刊現代の『上皇』、『法皇』と呼ぶ人もいました。水曜締め切りなのに、火曜日の夕方になって彼の思い付きで企画がひっくり返ることもあった。創業家の野間省伸社長、故金丸信元副総理の親戚の金丸徳雄副社長に次ぐ社内ナンバー3の実力者です」
「バック・トゥ・ザ・ペーパー」の掛け声のもと…
異変が起きたのは、今年5月。鈴木氏が主導した6月1日発令の週刊現代にかかわる人事異動をめぐって社内が大混乱に陥った。
「部数が低迷する週刊現代の業績回復を目指した鈴木氏は『バック・トゥ・ザ・ペーパー』の掛け声のもと、社内の精鋭を紙の週刊現代に結集させたのです。『フライデーデジタル』の編集長を就任4カ月で呼び戻すなどかなり強引なことをやった。極めつけが石井克尚編集長の再登板でした」(同前)
石井氏は2020年6月~2021年11月にも編集長を務めており、1年半ぶりの再登板。しかし、この人事が若手を中心に反発を招いた。
「石井氏のパワハラは有名です。前に編集長だった時、若手は毎日あらゆることで怒られていました。机を叩きながら『お前は小学生レベルだ!』『頭悪い』などと罵倒され、原稿を持っていくと、『お話にならない』と放り投げられる。複数の社員が『あれはハラスメント』と証言しています。在任中に若手社員5人が休職状態となり、うち2人は退職しました。他にもう1人、1週間ほど出社できなくなった者もいた」(講談社中堅社員B氏)
当時、この事態を人事部も把握。編集長から外れた際は「パワハラによる更迭」と囁かれた。にもかかわらず、わずか1年半で鈴木氏は石井氏を再登板させた。
「石井氏が戻ると聞いただけでトラウマが蘇った若手社員は多く、心身に不調をきたし『不安障害』と診断された人や、公然とボイコットを呼びかけた人もいた」(同前)
そこで、石井氏を再登板させた任命権者である鈴木氏は、週刊現代の部員全員と個別面談を行った。ところがそこで新たなハラスメント発言が飛び出したという。