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 このような構造によって、世間の注目を集めるようなタイプの自殺だけが報道されるという偏りが生じ、そうしたものが積み重なった結果、我々はいつの間にか「子どもの自殺=原因はいじめ」のように思いがちです。しかし、実際に生じている大半の子ども・若者の自殺はそのようなものではないということは、注意が必要な点です。

留年した学生ほど自殺リスクが高い

 児童・生徒というのは小学校から高校まで通う子どもの名称ですが、では、もう少し上の大学生はどうでしょうか。少し古い資料になってしまいますが、図1は、横軸に入学年度(左側が1年生で右にいくほど学年があがる)、縦軸に大学生の死因別死亡率をとったグラフです。

 

 この図を見ると、大学生の自殺率は3年生頃から上昇し、4年生になるとかなり高まり、留年をするとさらに高まるということが分かります。通常、日本全体の自殺率は15~20人/10万人ですから、4年生以上になると平均よりもはるかに自殺率が高くなるということが見てとれます。これはやはり、4年生ともなると、学業(卒業)や就職(進路)にともなう悩みが非常に強くなるからだと考えられます。こうした点は、児童・生徒の自殺の原因に関する資料と同じだということができます。