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やはりTikTokは利用者をスパイしていた…「完全匿名アカウント」でも氏名や住所がすぐにバレる理由

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genre : ニュース, 中国, 国際, テクノロジー

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「TikTokがわれわれの記者をスパイしていた」

TikTok側は事実関係を否定しているが、フィナンシャル・タイムズ紙は「TikTokがわれわれの記者をスパイしていた」と題する音声記事を配信。クリドル氏はこのなかで、こう問いかけている。

「標的型の監視です。これは非常に特異であり、間違いなく理由があります。政治家、活動家、ジャーナリストが問題提起をしていますが、アプリを利用している人も自分自身に問いかける必要があります。あなたはそのトレードオフに満足していますか? いつか標的にされるかもしれないことをうれしく思いますか?」

「パーソナライズされた広告など、私たちは自身の情報をSNS企業に提供することに慣れています。私たちにとって目新しいことではありませんが、今は認識を深める必要があるかもしれません。私たちは、プラットフォームから得られる利益のためにプライバシーのトレードオフを行う意思があるかどうかを自問する必要があると思います」

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アメリカ連邦政府は職員にアプリ削除を指示済み

TikTokをめぐっては、中国政府が求める任意のユーザー情報が中国共産党に渡される恐れがあるとして、アメリカ国内で規制する動きが広がっている。

懸念される最大の理由は、中国企業に情報開示や機微な情報の越境移転を制限することを義務付ける「国家情報法」(2017年施行)だ。第7条で「いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない。国は、国家情報活動に対し支持、援助及び協力を行う個人及び組織を保護する」と定めている。

また2014年の反スパイ法では、状況調査、証拠収集の際に「ありのままに提供し、拒絶してはならない」と協力義務を規定している。だから、あらゆる中国企業から、中国共産党にデータ流出のリスクがあると懸念されるわけだ。

アメリカ連邦政府は公用端末でのアプリ利用をすでに禁止。2月末、職員に対してアプリの削除を命じた。