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やはりTikTokは利用者をスパイしていた…「完全匿名アカウント」でも氏名や住所がすぐにバレる理由

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genre : ニュース, 中国, 国際, テクノロジー

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アメリカでTikTokを禁止する動きが進んでいる

中国発の動画共有アプリ「TikTok」の信頼性が再び揺らいでいる。

TikTokを傘下に持つ中国ネット大手・ByteDance(バイト・ダンス)社が、利用者の視聴履歴を収集。LGBT動画を閲覧した人々のリストを社内で保持していると、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じた。海外の有力メディアがこの報道を取り上げ、波紋が広がっている。

写真=iStock.com/Urupong ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Urupong

同紙が元従業員の証言として特報したところによると、TikTokは少なくとも1年にわたる利用者の視聴履歴を分析。性的少数者のリストを作成し、社内のデータベースに保持していた。LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの略)などのトピックの下でユーザーが視聴した動画を分類し、ユーザーのID番号は一部の従業員が閲覧できる「ダッシュボード」に保存されていたという。

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TikTokは10~20代に人気のアプリで、世界で10億人が利用している。アメリカ国内の利用者は1億5000万人に上る

一方、TikTokは中国企業に属することから、中国政府にユーザーデータを提供するのではないかとの懸念が絶えない。米国の議員らが国内の利用規制、あるいは全面禁止の検討を進めている最中だ。今回の報道を受け、TikTokにはさらに厳しい立場に追い込まれることになりそうだ。

TikTokは性的少数者のリストを作っていた

ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、LGBTユーザーのリスト作りは、ユーザーの趣向を分析するByteDanceのアルゴリズムによって行われていた。TikTokではユーザーが見たい動画を自身で選択することが少なく、基本的には下にスクロールし続けることで、アプリが選定したおすすめ動画が次々と現れる仕組みだ。

おすすめ動画はユーザーによって異なり、ユーザー自身が過去に視聴した動画の傾向をもとに、人工知能(AI)が好みに合うと思われる動画を提示する。この視聴履歴の分析の一環としてTikTokは、性的少数者であるLGBT向けの動画を多く視聴したユーザーのリストを作成していたという。