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日本ハム・清宮幸太郎を成長させる「マック・マンツーマン」指導

文春野球コラム オープン戦2018

2018/03/05
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まるで「父親」のようだった金子コーチの指導

ノックを受ける清宮幸太郎 ©斉藤こずゑ

 今回はバッティングが出来ない清宮選手、金子コーチといる時間がより多くなりました。他の選手がバットを握る時間は「マック・マンツーマン」です。私は現役時代のストイックな印象から金子コーチの指導はもっと厳しいものを想像していました。いわゆる「鬼」っていうやつを。でも今回の姿は鬼とは程遠く、例えるなら「父親」に近かったかもしれない。

 時折、名前を呼びかけながら話すコーチ。こうたろう、今やっている練習はどんなことで、どんな意味があるのか、わかるか? こうたろう。あのな、こうたろう。ここに球が来たらどう動くのがベストだ? なぁ、こうたろう?

 ……はい、明らかに盛ってるんですけど、マックさんはこんなにこうたろうこうたろう言わないんですけど、でもこのくらいのイメージなんですよ、会話の時の金子コーチが。本当にびっくりしました。こんなに優しく丁寧に話す金子コーチに、金子コーチをそうさせる清宮選手に。

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 そして1対1でも名前を呼ぶって大切だなと思ったんです、とても。何故なら名前を呼ばれる度にマックさんの方に向き直る清宮選手がいたから。自分を思って言われてることなんだって、ひとつも聞き漏らしてなるものかっていう表情をしていたから。動くよりも会話の方が多く感じるくらいの「マック・マンツーマン」は特別扱いであるのは確かですが、絶対に甘やかしではない、それは二人の向き合う姿から感じました。

 この光景は、清宮選手がルーキーで、しかもバッティングが出来ない状態で、そして、金子コーチが昨年までの打撃コーチではなく内野守備コーチだったからこその産物でした。

 清宮選手にとっても宝物になったと想像します。近い将来に海を渡るであろう彼が、そのバッティング能力はもちろん守備でも認められての挑戦となったとしたら、その礎は「マック・マンツーマン」で間違いないのです。私たちの記憶にもしっかり留めておきましょう。そして何年か後に会見をする彼の姿を見て、思い出しながらにやにやしましょう。ちょっと自慢気に人に話したりもしましょう。その時を想像したら、何だかもう既ににやにやしてしまう(笑)。

 日本に戻ってきてからファイターズは沖縄県内の他球団のキャンプ地を転々とし、練習試合を重ねて今年のキャンプを終えました。長年使用していた名護市営球場が老朽化による工事中のためです。順調に回復した清宮選手は帰国してからは試合で打席にも入ってファンを沸かせています。

 あ、金子コーチ。こんな場面もありましたよ。

 複数での守備練習でノックを打っていて、順番を待つ清宮選手がちょっとサングラスを外して汗をぬぐったら、「おい! 休むな! こうたろう!!!」と大声で激を飛ばしてました。こっちの姿の方が何だかほっとする、のがファイターズファンかも。

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