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朝日の「森友第一報」を振り返ってみると……

 ここで昨年2月9日の「森友学園報道」第一報を振り返ってみよう。

「大阪の国有地 学校法人に売却 金額非公表 近隣の1割か」(朝日新聞 2017年2月9日)

《財務省近畿財務局が学校法人に払い下げた大阪府豊中市内の国有地をめぐり、財務局が売却額などを非公表にしていることが分かった。朝日新聞が調査したところ、売却額は同じ規模の近隣国有地の10分の1だった。国有地の売却は透明性の観点から「原則公表」とされており、地元市議は8日、非公表とした財務局の決定の取り消しを求めて大阪地裁に提訴した。》

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2017年2月9日 朝日新聞 それは社会面から始まった

 森友学園の第一報とは、値引き額の多さでもましてや籠池前理事長のキャラクターでもなかった。「財務局が売却額などを非公表にしている」こと。つまり情報が明かされない不思議さである。

 そのあとも、文書は破棄されたとか出てこないとか森友問題の本質は一貫して同じ。で、今度は「書き換えた」疑惑である。

 森友問題とは「公文書クライシス」(毎日新聞が年明けから企画した特集タイトル)なのである。

不思議だらけの公文書クライシス問題

 これに対し「首相官邸幹部は『少し言葉を書き換えた程度の話だ。大したことはない』と語る」(毎日新聞 3月3日)というリアクション。

籠池泰典氏 ©共同通信社

「安倍政権では、公文書の管理をめぐる問題がやまない」(社説・朝日新聞 3月3日)という指摘と温度差がありすぎる。

 日刊スポーツのコラム「政界地獄耳」も懐疑的だ。

「『書き換え』突き進む安倍のおごり」(3月5日)

《歴史を書き換え、教科書を書き換え、最近は国会の議事録を書き換え、今は公文書の書き換え、今後は憲法の書き換えに向かおうとしている。》

 地獄耳師匠がたたみかける。

《書き換えの歴史をはっきりと指摘してこなかったメディア、書き換えを許し続けた与党、野党、議会の責任も大きい。》

「森友国会」から「佐川国会」へ

 不思議だらけの公文書クライシス問題。公文書だけでなく佐川国税庁長官も、安倍昭恵首相夫人も、籠池夫妻も出てこない。都合の悪いものはみんな出てこない。

 地獄耳師匠は最後をこう締める。

《もう正面強硬突破は、通用しない。》

 潮目は変わったのだろうか。