本題に入る前にちょっとだけ個人的な話をさせてほしい。野球をまったく知らなかった妻に千葉ロッテマリーンズのことを布教し続けて5年が過ぎた。しかし残念ながらマリーンズへの興味が芽生えることはなく、どんなに家でマリーンズ戦の中継を流し続けても、マーティン、レアードなどの外国人選手と佐々木朗希投手を覚えてもらうのが精一杯だった。
でも仕方がない。趣味は押し付けるものではないから。よりによってあまり得点が入らず退屈で、応援の音がドカドカうるさいチームの野球中継を毎日見ていても文句を言わないだけありがたいじゃないか。
ところがなんと、妻は今春のWBCをきっかけに、瞬く間に完全なる“オリ姫”となってしまった。
優勝の経験が選手の魅力を引き上げるらしい
朗希の盟友・宮城大弥投手からオリックス・バファローズに興味を持ち、山崎颯一郎投手、山本由伸投手などのWBC組を覚え、中川圭太選手、紅林弘太郎選手などの野手も覚え、信じられない猛スピードでオリックスの選手を覚えていった。現在は石川亮選手が推しらしい。5年かけてもマリーンズの選手は全然覚えられなかったのに、大変失礼ながら3番手捕手を推すほどのファンになるかね!
いやいや、ちょっと待ってくれよ。マリーンズにだってイケメンがいっぱいいるじゃないか。正統派イケメンの藤原恭大ならバファローズの「オリメン投票」の上位にだって食い込める逸材だろうし、あまり一軍にいないが平沢大河だって絶大な人気の持ち主だ。さらにいえば高部瑛斗はお兄さんがイケメン美容師だし、荻野貴司のようなイケオジ枠まで揃っているし、安田尚憲なんて絶対いいやつでしょ。ほーら、粒揃いだ。
だが、妻に言わせりゃいずれも「ちょっと違う」らしい。あんなにも男前な藤原でさえも何かが違うそうだ。一体何が違うのか。でも実際にバファローズの試合や配信コンテンツを見てみると、悔しいがちょっぴりわかる気もする。
隣の芝は青いとよく言うけど、バファローズの選手たちはいつでもイキイキとした表情をしていて、選手たちはいつも仲がよさそうに見えるし、企画にも協力的。お笑い芸人風だったり、韓流アイドル風だったり、他球団は絶対やらないようなコンセプトの撮影も選手自身が楽しく臨んでそうなのだ。
ではマリーンズの選手たちはどうかと問われると、仲は悪くなさそうだがみんな真面目で謙虚そうだし、バファローズの選手たちと比べると明らかにシャイで控えめ。真面目なことはもちろんいいことなんだけど、ふざけたりする余裕がないだけのようにも感じてしまう。
……そうか、バファローズの選手たちからはパ・リーグ2連覇で得た絶対の自信と余裕が節々から感じられるんだな。これこそがマリーンズの選手に足りないもの。うぐぐ、うらやましい……!!