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不当解雇で計4700万円を勝ち取った男が教える「退職を勧められたときにやってはいけないこと」 「“勧奨”と“強要”の違いは何か」

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 働き方, 社会

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転職した2社目でも、総務部長から「勤務時間外も電話対応するように。できないのならお辞めいただくことになるかもしれない」と退職勧奨を受けた際、「それって違法労働しろってことですか? 労働基準監督署に相談しますよ」と言い返した。結果、翌日から自宅待機指示。5日後に解雇通知書を渡されている。

この2つの事例の共通点は、「違法労働を指摘したとたんに自宅待機指示を出され、最終的にクビを宣告される」という流れだ。会社側からすると「こいつは問題社員だ」という結論はすでに出ているわけで、私が何を反論しようが(むしろ反論すればするほど)火に油を注ぐ形になったのだろう。このままではまずいという会社の焦りもあったのかもしれない。

議論したいのではなく、すでに答えは出ている

心理学用語で「一貫性の法則」という言葉がある。わかりやすくイメージするなら、使用者側は問題社員と議論したいわけではないのだ。

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この社員のいったい何が問題なのか。どうやったらその問題は解決されるのか。会社としての「答え」はすでに出ていて、その「答え」を労働者側へご丁寧に伝えようとしているにもかかわらず、糠(ぬか)に釘状態。素直に従わずに反骨心を持つのであれば退職勧奨、あるいはクビも致し方なしという展開になるのではないか。

上司からすると部下からの反論は「生意気」に映る。みんな遅くまで働いているのに一人だけ早く退勤する。みんな勤務時間外も電話対応しているのに、一人だけ対応しない……。

実際、退職勧奨してくる総務部長に言われたのだが、「自分たちのやってきた努力をバカにされた気持ちになった」そうだ。上司が積み重ねてきた努力を否定する言動は、極論、その上司の存在そのものを否定することにつながる。アイデンティティを否定され、生き方を否定されれば、そりゃあ出る杭(くい)は打ちたくなるだろうし、最悪の場合、杭ごと引き抜いてポイ捨てしようと考えてもなんら不思議ではない。