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不当解雇で計4700万円を勝ち取った男が教える「退職を勧められたときにやってはいけないこと」 「“勧奨”と“強要”の違いは何か」

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 働き方, 社会

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なお、世間では「怒られているうちが華」といった企業側を正当化する価値観が根強いが、そんな人間が花咲かせているのを見たことがない。私が知る限り、若手社員は退職するまでずっとグチグチ&ネチネチ言われ続ける。働かないオジサンは社内で認められても、働かないワカモノの存在は認められない。嘆かわしいことだが、これが現実だ。

「勧奨」と「強要」の違いは何か

企業から労働者へ「退職したらどうですか」と提案すること自体は何の問題もない。ただし、退職強要は違法行為として扱われる。違いは「脅し」の要素があるかどうか。

机を叩きながら退職を迫る、懲戒解雇をチラつかせる、長時間拘束して退職を迫る、ストーカーのように連日にわたって退職を迫る……など、「脅し」の要素が多ければ多いほど、退職勧奨ではなく退職強要と認定される危険性が高まる。会社を守る側の視点に立つと、解雇はリスクが高いため自主退職を促すことが合理的な判断だが、くれぐれも肩叩きはソフトにがコツだ。

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逆に、会社を攻める側の視点に立つと「守り勝つ」のが弱者の戦い方として有効である。あくまで退職勧奨とは「退職したらどうですか」という企業側の提案。それ以上でも以下でもない。その提案を労働者が断った以上、しつこく退職を迫る行為は「脅し」と見なされる。よって退職勧奨では「どんなに退職を迫られても粘り強く在職の意志を示し続ける」ことがポイントになる。

感情に任せて退職届を出してはいけない

もちろん労働者からすると、退職勧奨は気持ちの良いイベントでは決してない。だが、感情的になって退職届を提出するなどの自暴自棄な行為は控えてほしい。なぜなら退職届は労働紛争や裁判で「会社の切り札」として悪用される危険性があるからだ。

大人の喧嘩は論より証拠。本稿の冒頭で私が提出させられた始末書も、もちろん裁判では「会社のお守り」として嫌というほど利用された。

自分で言うのもあれだが、これを書いた私の考え方や言動にこそ、退職を促される人材の特徴がてんこ盛りに詰まっている。雇用を失いたくない方は、ぜひ私という存在を反面教師として参考にしてほしい。

佐藤 大輝(さとう・だいき)
ブラック企業元社員
23歳の時、不当解雇されたブラック企業を訴え、20カ月間争った後、和解金700万円を獲得。29歳の時、不当解雇されたグレー企業を訴え、24カ月間争った後、和解金4000万円を獲得。神戸市在住の現在32歳。趣味は読書、バドミントン、海外渡航。これまでにバッグ一つで世界25カ国を旅した。ビジネス書と小説、どちらもベストセラー書籍を出版するのが夢。
不当解雇で計4700万円を勝ち取った男が教える「退職を勧められたときにやってはいけないこと」 「“勧奨”と“強要”の違いは何か」

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