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不当解雇で計4700万円を勝ち取った男が教える「退職を勧められたときにやってはいけないこと」 「“勧奨”と“強要”の違いは何か」

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 働き方, 社会

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このような注意指導が行われる背景にはおそらく複数の要因がある。問題社員の更生を期待している。あるいは純粋な先輩心から善意でやっている……。しかし性格の悪い私は、「注意指導をした事実を残したいから」という企業側のしたたかな裏事情があると腹黒く推測している。

「中身」は二の次で、「事実」さえあればいい

解雇が法的に有効だと認められるハードルは非常に高い。それでも何とかしてハードルを飛び越えたい時に必要になるのが、注意指導の事実と実績だ。

何度も注意指導を行い、更生の機会を与えていたにもかかわらず、いっこうに問題行為が改善されなかった。よって退職勧奨を行ったが聞き入れてくれなかったため、断腸の思いで解雇した――。従業員が抵抗した際は、このようなストーリーが会社側には求められる(※始末書、減給、降格、配置転換、自宅待機なども加えたい)。

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もちろん注意指導自体が不適切だったり、パワハラに該当したりするケースは十分に考えられる。この点は出る所へ出た際に争点になりがちだが、それはそれ。注意指導の「中身」は二の次で、注意指導したという「事実」を企業側は求めているのではないか。労働者側は性善説ではなく性悪説で、企業側の言い分に耳を傾けるのが得策だろう。

社長に直談判すると、自宅待機の指示が…

それでは実際に注意指導を受けた場合、そこから巻き返して退職勧奨を免れることはできるのだろうか。これは残念ながら、ほとんど望み薄だと思ったほうがいい。

私は負けず嫌いの性格だ。最初に訴えた会社では在職中、社長に対し「この会社のやっていることは違法です。未払いの残業代を支払ってください」と直談判したことがある。

この時はすでに5回以上の退職勧奨を受けており、仕事はもちろん、会社の鍵や携帯などの備品はすべて没収。文字通り失うモノは何もない状態だったので、窮鼠猫を噛むで会社に盾突いた。結果、次の出勤日から自宅待機指示があり、そこから約2週間後に解雇通知書を渡された。