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不当解雇で計4700万円を勝ち取った男が教える「退職を勧められたときにやってはいけないこと」 「“勧奨”と“強要”の違いは何か」

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 働き方, 社会

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私の経験を教訓として伝えるなら、注意指導と思われる場に呼び出されたときはくれぐれも「私は間違っていない。あなたが間違っている」といった態度を全面的に出さないよう意識し、可能ならば全力で弱者を演じるべきだろう。そして、相手が油断している隙に録音などの証拠を集め、有事の際に備えよう。

「優秀社員」だった私の評価が急降下したワケ

今となっては誰も信じてくれないが、私はクビになった2つの会社で「優秀な社員」という評価を一時的だが得ていた。営業成績不良で解雇されたブラック企業では、営業活動に従事する前に行われた民間の資格試験に一発合格した(社員約15人が参加したが、私の成績は2位だった)。

勤務態度不良で解雇された企業では、3人で回していた業務を1人で回せるよう業務を効率化。賞与の査定表には「標準より能力が優れている。今後、後輩が入ってきた際は、自分の知識や考え方を伝承してほしい。自分のコピーを作るつもりでお願いしたい」といったコメントを営業所長から頂いている。

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ところがどっこい。期待が大きいと、そのぶん失望したときのギャップも大きくなる。なぜなら心の振れ幅の「差」が大きくなるからだ。

恋愛などで誰しも経験があるだろう。もしかして自分に気があるのかなと期待していたからこそ、ダメだった時の反動は大きい。会社も同じだ。誰からも期待されていない「働かないオジサン」は不思議と職場になじんでいるが、若手社員の勤務態度が腐り始めると「これは一大事だ」と問題がクローズアップされる。この違いは期待あるいは信用の有無に左右されている。

ギアを1つ2つ下げた時が危険

とくに、仕事に前のめり気味の頑張り屋さんは要注意。入社したばかりの頃は「就職ハイ」と呼ばれる心理状態に陥りやすい。良い成績を残し、誰よりも早く出世してやる。こういった素晴らしい精神を持つ若手社員は、十中八九、理想と現実の狭間で苦しむことになる。

どんなに頑張って結果を出したところで給与は急激には増えない。休みも増えない。それなのに仕事量と責任だけは増えていく……。これ、一生懸命働くよりも手を抜いたほうが自分にとって得なんじゃないか? このように思い始め、ギアを1つ2つ下げた時が危険なのだ。前述した通り、期待からの失望は心理的負荷が大きい。このタイミングで自主退職を選ぶ人も多いだろうし、私のように会社に目をつけられる運の悪い人も多いのではないか。