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「男女平等は反道徳の妄想」自民党の女性議員が“女性を貶める暴言”を繰り返す根本原因 ナチス女性加害者との共通点

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genre : ニュース, 政治, 社会

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この最後の一文が示す通り、エルナ・ペトリという女性がナチス親衛隊員の夫と共に、ナチ占領下のポーランドにあった自宅の庭で少年を含む複数のユダヤ人を射殺した行為の動機は、私的な領域に留まるものではなく、当時のドイツ国民が共有した「ユダヤ人は社会にとって害悪であり、それを『駆除』することはドイツ国民の務めだ」というナチスの非人道的な世界観に突き動かされたものでした。

いやいや同調圧力に従ったのではないにせよ、自らの手でユダヤ人を殺すことによって「〔自分は女性だが〕男性と同じくらいに有能だと証明したかった」という彼女の行動は、当時のドイツ社会を支配した心理的圧力に、自らの意思で同調したのだと言えるでしょう。

「みんながそうしているから自分もそうした」

エルナ・ペトリは、自分の行為について、裁判で次のように弁明しました。

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当時、〔ユダヤ人を〕射殺したとき、私はたったの二三歳で、まだ若くて経験もありませんでした。ユダヤ人を射殺していた親衛隊員たちの間で暮らしていたのです。ほかの女性と会うことはほとんどなかったので、だんだんと性格が強くなり、鈍感になっていきました。親衛隊の男たちの後ろに立つなんて嫌でした。女でも男のように振る舞えることを見せたかった。だから、ユダヤ人四人とユダヤ人の子ども六人を撃ちました。男たちに、自分が有能なことを証明してやりたかったからです。それに、当時この地域では、子どもも含めユダヤ人が射殺されているという話を、ありとあらゆるところで耳にしていました。それもあって、殺したのです。(p.196)

この証言の最後で述べられたのは、「みんなもそうしているから自分もそうした」という、集団内で「みんな」が行っている行動への同調という弁明です。そう言えば、自分の責任を軽くできると、彼女は考えたのかもしれません。

「集団内での立場」が倫理観よりも優先された

集団全体がホロコーストのような残虐行為に手を染めている時、自分が集団内で異端視されたり排除されることを恐れて、自らの意思でそれに加担するという「同調」行為は、女性だけでなく男性の場合にも多く見られた現象でした。