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女子少年院の在院者は100%性的虐待を受けている…非行の一端は「虐待被害にある」と考えるべき理由

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genre : ニュース, 社会

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この事件で瀕死の重傷を受けた方は、その後、この事件を起こした少年やその両親と直接やりとりをする中で、事件の前に次のようないじめ被害を受けていたことを知ります。

中学校でひどいいじめを受けただけでなく、その中で、音楽室に忘れた筆箱をいじめた側から取り上げられ、「これが欲しいならここから跳んでみろ」と言われ、ある踊り場から無理矢理跳ばされて、腰を圧迫骨折してしまい、入院を余儀なくされていたのです。

その結果、高校受験も入院先でということになりました。志望校には無事合格したものの、入学から1週間ほどで高校に通えなくなり、不登校となっただけでなく、引きこもりも始まったそうです(※5)

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※5 岡田行雄=山口由美子「少年犯罪被害者になって」熊本法学149号(2020年)83頁参照。

担任の教師からボコボコに殴られる

ほか、傷害や窃盗等の非行で少年鑑別所に3回送致され、少年院に送致された少年が、空手をやっていた担任の教師から、馬乗りになってボコボコに殴られるという被害を受けていたことがインタビューで明らかにされるなど、非行少年の中には小学校時代から教師の体罰を受けてきたことが多いと示されています(※6)

※6 非行克服支援センター『何が非行に追い立て、何が立ち直る力となるか 「非行」に走った少年をめぐる諸問題とそこからの立ち直りに関する調査研究』(新科学出版社、2014年)107~108頁参照。

「非行に走らずにすんだ少年」もいる

非行少年が受けてきた被害に対して、私たちはどのように向き合うべきでしょうか?

もちろん、虐待、いじめ、体罰、行政機関の不作為などによりもたらされた被害を受けたとしても、非行に走らずにすんだ少年達もいます。

被害を受けながらも、ちゃんと成長して立派な大人になった者もいるのだから、非行に走った少年が受けてきた被害を無視しても問題はないとも言えそうです。

しかし、非行少年が受けてきたさまざまな被害を無視することははたして妥当なのでしょうか?

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