1ページ目から読む
2/2ページ目

マウンド上では焦らない矢崎投手が動揺を隠せなかった出来事

 昨シーズンは自己最多の47試合に登板して、セットアッパーとしても結果を残し、期待値が上がる中で迎えた今シーズンは既に47試合に登板。シーズン途中からは栗林投手とダブルクローザー体制にもなり、24セーブを記録しています。

 中継ぎ投手として評価される50試合も目前ですが、チームの為に腕をぶりぶり振って投げてもらい、あくまでも50試合はその通過点。残り20試合を切って最後の戦いです。馬車馬の如く、鼻息荒く、大胸筋をしっかり使って背中のパワーを前面で止めて、地面反力を上腕筋から指先まで伝達させて相手打者を力で抑えてください。

 そして、ここまで矢崎投手を誉め上げさせてもらいましたが、ここから矢崎投手を困らせるような暴露話をぶっ込んでいきます。

ADVERTISEMENT

 2022年の自主トレin慶應大学野球場(日吉グラウンド)。自家用車のタイヤのキャリパー部に作業バー突き刺さり事件。

 その名の通り、矢崎投手の車のホイールの溝に作業バーがすっぽりはまってしまっていたんです。マウンド上ではピンチの時でも焦らない矢崎投手が、顔を真っ赤にして「廉さん! ちょっと外を見てください!」と動揺を隠せず、その姿を見て思わず爆笑してしまいました(笑)。

 その後は、空き時間にお台場の室内型遊園地に行き、2人で遊んだのも良い思い出です。そこで前田健太さんにも矢崎投手を紹介できました。

 なかなかファンの方には伝わりにくいのですが、矢崎投手はとても可愛げがある後輩なんです。段々と打ち解けていく中で、たまに僕に敬語を使わないで話してくれる時が一番可愛いなと思っています(笑)。

矢崎投手にとって大きかった佐々岡真司前監督の存在

 そんなことはさて置き、二軍時代に投手コーチとして、後に一軍監督として指導してもらった佐々岡真司さんの存在は、矢崎投手にとって大きかったと思います。

 プロ野球選手として生きていくために必要なことを、矢崎投手の能力や将来性を感じていたからこそ、時に厳しく、時に楽しく、指導されていたのではないかと感じていました。佐々岡さんとカープで一緒にプレーした方はお分かりだと思います。

 佐々岡さんのためにも、とにかく矢崎投手には何年も一軍で投げてもらい、一軍のマウンドで相手打者を圧倒できるように今以上に頑張ってほしいです。

 何度もこのコラムで言わせていただくのですが、野球選手の凄さ、勝負の世界で戦うかっこよさを現役引退してから改めて感じています。選手の皆さんには最敬礼です。

 私が偉そうに言う事ではないのですが、矢崎投手だけでなく、選手の皆さんにはユニフォームをできるだけ長く着てもらいたい、現役生活を長く送ってもらいたいと心から願っております。

 私は現役を引退してからもう少しで1年が経ちます。第二の人生は毎日が新鮮で、たくさんの人に助けてもらいながら、色々なお仕事にチャレンジさせてもらっています。これから間違いなく色々な迷いや壁にぶち当たると覚悟しながら、自分の武器は何なのかを色々な事に挑戦しながら見つけていきたいなと思っています。

 このコラム執筆もそうですが、僕の人生において「挑戦する」というテーマはずっと持ち続けたいと思っています。トレーニングが大好きで、世界で戦える体を作るためにフィジーカーとして今でも鍛え続けています。

筆者・中田廉

 さらに、気象予報士を目指し、少しずつですが勉強も始めました。あとは、ベンチリポーターのお仕事もしたいと思っています(一生懸命頑張りますので、お仕事お待ちしています!)。

 最後になりますが、コラムを読んでいただき本当にありがとうございました。

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2023」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/65308 でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。