「ヒゲモジャ顔」「無精ヒゲ顔」「ツルツル顔」の打率を計算してみた
では次に、ヒゲについて見てみる。新入団会見時から立派なヒゲをたくわえていたデビッドソンは、開幕してからもそのスタイルを継続していた。立派なヒゲでホームランを量産する姿に、かつてカープに在籍したランスを思い出したファンも多かったのではないだろうか。
そんなデビッドソンのヒゲがツルツルに剃られたのが、8月10日のことである。心機一転なのか、日本の夏が暑すぎるゆえか。まるで別人のような風貌になったデビッドソンの姿は大きな驚きをもって受け入れられ、カープ公式インスタグラムにも、笑顔のヒゲなしデビッドソンの写真とともに“new player!?”というコメントが付けられていた。
話はそれだけでは終わらなかった。開幕8戦目で4本のホームランを放ち、「このままのペースでいけばシーズン72本塁打……!」と期待されていたデビッドソンであったが、5~7月のホームラン数はわずか4本。ところがツルツル顔になってから、その当たりが復活したように見受けられるのだ。これはヒゲと打撃成績とに関連性があるのでは、と思わずにはいられない。
デビッドソンがヒゲを剃ってから1か月が経過した。基本的にはツルツル顔が維持されているが、新たに「無精ヒゲ顔」も誕生した。恐らくデビッドソンは、1~2日ヒゲを剃らないと無精ヒゲ状態になるのだと思われる。そこで「ヒゲモジャ顔」「無精ヒゲ顔」「ツルツル顔」の3パターンそれぞれの打率を計算してみた(無精ヒゲとツルツルの境界線が難しいところだが、遠目に見てヒゲの存在感が確認できれば、無精ヒゲに分類している)。
結果、
ヒゲモジャ顔 228打数49安打(うち本塁打11) 打率.215
無精ヒゲ顔 24打数9安打(うち本塁打3) 打率.375
ツルツル顔 69打数13安打(うち本塁打5) 打率.188
(9月10日現在)
となり、打率だけを見れば「ヒゲを剃って成績が上がった!」とは言えなさそうである。しかし本塁打率(打数÷本塁打数。1本塁打を放つのに要した打数を算出するため、値が低い方が良い)を見てみれば、ヒゲモジャ顔が20.7なのに対し、ツルツル顔は13.8と向上している。「ツルツル顔になってホームランをたくさん打っている」という印象は間違いではなかったのだ。
さらに、一番すごいのが「無精ヒゲ顔」である。打率3割7分5厘、本塁打率8.0。つまり「デビッドソンは無精ヒゲ時に一番打つ」と言えるだろう。できれば今後、ずっと無精ヒゲでいてもらいたいところだが、一番維持するのが難しそうなヒゲでもある。毎日きちんと整えられた無精ヒゲ。それを無精ヒゲと呼んでもよいのかどうか、悩ましいところだ。
※注1:「中国新聞デジタル」2023年4月10日
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