10月4日をもって、今季のジャイアンツの1軍のゲームが全て終了しました。

 Bクラス4位でのフィニッシュということで、今秋は静かで寂しい時間に。

 9月末の松田宣浩選手の引退発表を皮切りに、今月に入り中島宏之選手が来季構想外になるという報せが入ってきて。

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 それらを全て吹き飛ばすかのように、シーズン最終戦の朝には衝撃の「原監督退任」のニュースが飛び込んでくるという、ジャイアンツファンのメンタルを揺さぶる10月の嵐。

 こうなると一気に寂しくなり、別れを惜しみ「ありがとう!」の思いを全力で伝えたくなるのが人の性。

 一方で若手の多い2軍がイースタン・リーグを制し、ファーム日本選手権への切符を手に入れているのが今年のジャイアンツ。

 ベテランの引退や戦力外通告と、東京ドームで躍動する若手の出現やドラフト会議の両方を、寂しさを感じつつも喜んで受け入れていくバランス感覚が人間の仕組み。

 一般社会では3、4月が別れと出会いの季節になりがちですが、プロ野球ファンには10月がまさに出会いと別れの季節。

 10月23日生まれの僕は、誕生日付近でジャイアンツの試合を見ることができる年がいかに幸せだったかを今年は強く感じます。

 しかし不思議なことに、ジャイアンツがCSで4連敗した2014年、日本シリーズで2年越しの8連敗をした2019年から2020年の悲しい気持ちの方が今年を上回っているような気がするのです。

 じゃあそのステージに立てない今年の方がいいかと言われると、そういうわけでは決してない。

 この説明がつかない矛盾こそ、ファンが真剣にジャイアンツに恋をしている証拠なのかもしれません。

原辰徳監督 ©時事通信社

理屈じゃないのよ感情は

 いつも一緒にいたいと強く願いながらしていた恋も、叶ってしまえば今度は1人の時間も欲しくなる。

 適度なバランスが大事なんだよとか曖昧なことを言いますが、つまり人は常に「隣の芝生は青い」のだと思います。

 この人間臭さを大いに受け入れて、前を向こうじゃありませんか。

 その日その瞬間によって全く異なってくる主義主張。

「もう無理だよ、引き際だよ」と思って、冷めた目で見ていたベテランの引退に惜別の涙と感謝が止まらなくなる。

「こんなマシンガン継投は本当にやめてくれ!」と思っていた投手采配も、続投によって打たれたら「早く代えないからだ!」と文句の一つも言いたくなる。

「今勝てなくてもいい、未来への投資をすべきだ!」と言って、若手中心のチームに負けが増えると空席が目立ちだすスタンド。

 昨日まで「原政権は少し長過ぎたんだよ、そろそろ世代交代を」とか言ってたのに、退任の報を聞くと意味不明なくらい動揺をしている。

 情緒が不安定すぎますよね(笑)。リアルな恋愛でこれを繰り返したら、めちゃくちゃ面倒臭い男だと思います。

 間違いなく相手を振りまわし、傷つけ、嫌われる可能性に満ちている。

 けれど安心してください。

 我々が恋しているジャイアンツは、こんな矛盾も面倒臭さも全て受け入れてくれる度量を持っています。

 この恋の結末をハッピーエンドに持っていくにはどうしたらいいのか。