前半戦と打って変わって石井楽天は、魅力的なチームに仕上がっている
「マスターあ゙あ゙あああぁ~~」
バックネット裏、奮発してVIPシートを確保する。僕の隣に座った、1年間共に戦ったであろうヨレヨレのプロ野球選手名鑑をもつお父さんが、レフトスタンドの歓声にあわせて阿部寿樹に声援を送っている。その隣のお母さんが辰己涼介の結婚を話題にしながら、センター方向に我が子を見つめるような眼差しを送る。
3位はBクラスじゃなくてAクラスだよ! がんばれよ!と楽天モバイルパーク宮城の超満員の観客席が石井監督に突っ込みつつ、フィールドで戦う選手を大きな声援で後押しする。浅村、タケローの連続タイムリーで鮮やかに逆転し松井裕樹で締めた勝利後、球場の外ではサラリーマンが抱き合いながら「羽ばたけ楽天イーグルス」を歌っていた。そうなんていうか、球場全体を包むすごくよい雰囲気、いい空間。
前半戦と打って変わって石井楽天は、魅力的なチームに仕上がっている。このチームをもっと眺めていたいな、という間違いない気持ちもある。
だからといって来シーズン以降も石井監督続投を望んでいるかは、ファンにとっても賛否両論、悩ましいところなのかもしれない。書いている自分でも正直よくわからない。だって来年から嶋監督、平石ヘッドコーチ、藤田一也守備走塁コーチです!と発表されたら泣きながら楽天モバイルを5台は契約するはずだよと、東京へ戻る新幹線でほや弁を食べながらしみじみ思うのだから。
10月7日土曜日。私は娘にせがまれ、渡辺直人コーチの地元の茨城・牛久からほど近い『つくばわんわんランド』への日帰り旅を敢行することになった。イヌワシよりチワワ。45歳おっさんのこれが現実だ。ソフトバンクとの試合開始は18時。わんわんランドの閉園時間は17時。3連休初日、予想通り常磐道は大渋滞。試合開始までに間に合わず、帰宅時には先発・岸王子がすでに降板。3点差ビハインドからの試合観戦となった。そして辰己の一発に救われた。ありがとう! 最高のホームランでした。
10月9日月曜日。最終戦のチケットもソールドアウトだ。泣いても笑ってもあと1試合。運命の大一番。CS進出へ向けて各自悔いなく、応援するしかない。そう、勝てばよいのだ。
そして、また来年も野球みようよ!
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