2007年に第1子であるオス、2009年にメス、2011年にメスの子が生まれ、第1子と第2子は他の動物園に旅立っていきました。そして2012年の交尾の時はキヨミズとミライと第3子の3頭を飼育していました。彼らにとって4頭目の子となる繁殖です。私は第1子の繁殖から見ていて、キリンの交尾はキリンならではの大変さがあると感じました。
キリンの発情期は1年じゅう、メスは2週間ごとに24時間発情
ご存じ、キリンをはじめとする哺乳類はメスの体内で卵とオスの精子が受精して受胎します。キリンが繁殖できる体に成長する(性成熟といいます)のは、動物園と野生でも違いますし、動物園の中でも個体差があるのですが、私が担当していた頃はだいたいオスで5歳、メスで4歳くらいと言われていました。性成熟したらいつでも繁殖できるというわけではなく、メスは発情している約24時間だけ交尾を受け入れます。キリンのメスは1年(発情期)を通して、約2週間ごと(発情周期)に約24時間(発情期間)の発情がくるのです。オスはメスの発情に反応するだけなので、発情という言葉は主にメスに対して使います。
受精したら交尾の必要がないので発情はきません。そして約450日(15カ月)の妊娠期間を経て出産を迎えるのです。
オスは常にメスの発情がどれくらい近いのかを気にしており、それを判断する行動が毎日見られます。メスのおしっこには発情を示す物質が含まれているので、それを舐めてフレーメンをするという行動です。
「おしっこを舐める?」「フレーメン?」、ご説明します。
まずフレーメンですが、これはキリンに限らず他の動物種でも見られる行動です。有名なのはネコやウマです。中でもウマのフレーメンは唇を開いて上下の歯がしっかり見える状態になるので、よく笑っていると言われますがそうではありません。キリンも少し似ていて、上唇をめくり上げて首を反らすように伸ばします(ちなみにキリンに上の前歯はありませんので歯茎が見えます)。