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キリンの交尾を「へたくそ」と笑うな…122回マウントしても挿入できないオスがいたほど難易度が高いワケ

source : 提携メディア

genre : ライフ, ライフスタイル

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オスはメスのおしっこを毎日舐め、交尾できるかチェックする

そうすることで、鼻腔の奥にあるにおいを感じる器官(鋤鼻(じょび)器官、ヤコブソン器官)に、よりしっかりにおいが届くのです。それでオスはメスの発情がどの程度近付いているのかをチェックしているのです。しかも、メスがおしっこした時を狙って舐めに行くのではなく、オスがチェックするためにメスにおしっこを出させるのです。

まずオスがメスのお尻を口先で刺激します。するとメスがおしっこをするので、それを舐めてチェックするのです。これは毎日見られる行動なのですが、発情に近ければ近いほどチェックの回数は増えていきます。キリンでもおしっこは常にたっぷり出るものではありませんので、発情が近く何度も何度も短い間隔で促される時はさすがにもう出るおしっこがなくなります。それでもメスは絞り出すように数滴出しますが、もはや数滴すら出ていないように見えるときでもオスはフレーメンをするのです。

「キリンの交尾は一瞬」と言われるほど簡単じゃない

「交尾=挿入+射精」と定義すると、よくネットなどで見かける「キリンの交尾は一瞬で終わる」ということになり、簡単に思われてしまいますが、いやいや交尾だけ取ればそうかもしれないけどそんな表現はしてほしくない! と私は声を大にして言いたいのです。

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というのも挿入までの時間が長く、挿入自体もそんなに簡単ではないからです。なぜかというと、キリンの体型を思い出してもらえばわかります。キリンは首も長いですが、同じくらい脚も長いです。他の哺乳類には見られないその特徴のために、縦長の体型をしています。交尾がたいへんなポイントは長い脚と背中の角度ではないでしょうか。まず、脚が長いのでお尻の位置も高いです。そして他の四つ足動物は背中(肩からお尻)が地面と水平に近い角度になっていますが、キリンは肩の位置がお尻よりもずいぶん高く、背中のラインは斜めになっています。