要は、自動車販売店が損保会社をどのように位置づけるか、ということです。単なる下請けと捉えるのか、それともパートナーとしての関係を築くのか――。
当社もエンドユーザーから板金(修理)の仕事を請け負っていますが、そのうちの2割は損保会社からの紹介によるものです。ご紹介いただいたお客さまに理不尽な修理代金を要求したり、保険で違法な請求をしてそれが発覚したりすれば、損保会社側は大切なお客さまを紹介してくれなくなります。ですから当社としては損保会社をパートナーと見なして、いい関係を築くよう努めてきました。
悪しきパートナーシップ
――ビッグモーターは、どんなパートナーシップを損保会社との間で築いてきたのでしょうか。
【磯﨑(拓)】報道の通り、損保会社が不正請求と知りながら保険金を支払ってきたのだとすれば、これは大変な問題です。
そもそも最近では、以前は支払われた保険金が下りなくなるなど全般に保険の査定が厳しくなっていますので、それに逆行するような査定がなされていたのなら、まさに悪しきパートナーシップだといえますね。
――損保会社からの出向社員が多くいたことも、不正を助長する要因になっていたのでしょうか。
【磯﨑(拓)】保険会社から社員が出向するのは珍しいことではなく、当社にも1名、出向社員がいます。出向は相手の会社との取引の規模や関係性の深さなどにより決まります。
販売店にとって出向社員を受け入れるメリットは、コンプライアンスが保たれるということです。保険だけでなく販売、修理、アフターフォローなど業務全般に会社として公正に取り組んでいるという証しになるのです。
こうした出向社員が逆に不正に関与している可能性があるとは思いもよりませんでしたし、あってはならないことです。
あってはならない行為
【磯﨑(拓)】ビッグモーター問題では、本来、修理などする必要のない箇所も修理をして、保険金を騙し取るという手口が報道されていますね。