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「羊を数える」よりずっと効果的…いつもより20分も寝つきが早くなった不眠症の人が頭に浮かべたもの

source : 提携メディア

genre : ライフ, ヘルス

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その後、被験者はふたつに分けられ、ひとつめのグループは「考えを抑え込むように」と言われ、ふたつめのグループは「リラックスして自由に考えを行き来させるように」と言われました。

……さて、結果はどうなったでしょうか?

考えを抑え込むように言われたグループは、自由に考えたグループに比べて、寝つくまでに時間がかかり、睡眠が中断される回数が多かったのです。

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自分の思考をむりやり抑制しようとすると、思考が増大するだけではなく、脳が動揺します。そうすると、脳は「リラックスモード(睡眠)」ではなく、「忙しく作業するモード」になってしまうのです。

ですから、眠る前には考えを排除しようとせず、自由に行き来させるようにしてください。

心配事が浮かんだら、その存在を認めて、落ち着いて心配事にこう話しかけましょう。「頭に浮かんでくれてありがとう。今はあなたに何もしてあげることができないんだ。でも、明日対処するからね」と。

静かな心を保つことで、「警戒することは何もないよ」と脳に伝えることができます。そして「今は問題解決のために何もする必要はないんだよ」とさらに言い聞かせれば、眠りに落ちる可能性がはるかに高くなるのです。

「幸せな場所」を思い描くと、20分寝つきが早くなる

金色に輝く砂浜、日陰の川沿いの散歩道、透き通った水がはじける滝、色とりどりの花が咲き乱れる野原――。

オックスフォード大学の研究から、不眠症の人は「幸せな場所」や「リラックスできる景色」を思い描いたときのほうが、何も考えないようにしたり羊を数えたりしたときよりも、20分寝つきが早くなったことがわかりました。

羊を数えるのはわりと根気が必要で、面倒になるときもあります。そのため、不眠症の人が羊を数えても心配事から気をそらすことができません。

一方で、幸せな場所のイメージに没頭することは、楽しくて夢中になれるために、気がまぎれるのだと考えられています。

さらなる研究から、不眠症の人は、ぐっすり眠る人に比べて、眠ろうとするときに不快なイメージを想像する割合が高いことがわかりました。