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親が田舎出身だとマンションの購入権すらない…日本の親ガチャとはレベルが違う中国の「階層ガチャ」の実態

source : 提携メディア

genre : ニュース, 中国, 社会

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彼らはそのまま農村に住んでいれば問題ないのだが、彼らが都市に移り住んだ場合、問題が生じる。一時的に都市の戸籍(都市生まれの人が持つ都市戸籍とは異なる団体戸籍と呼ばれるもの)には入れてもらえるものの、生まれながらに都市戸籍を持っている人々とまったく同じ扱いではない。

つまり、簡単にいえば、同じ上海市に住んでいるのに、上海生まれ、上海育ちで都市戸籍を持つ人々は上の階層の人、地方出身で上海に移り住んだ人は下の階層の人、として扱われるということだ。

もう少し具体的に説明すると、以下のようなケースがある。

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7年納税しても、独身であればマンションを買えない

Aさんは四川省出身で農村戸籍を持っており、上海の大学に進学した。在学中は、前述のように、一時的な団体戸籍に入るので、上海で医療機関にかかることもできるし、差別を感じることもなかった。

だが、大学卒業後、上海の企業に入社する場合、都市戸籍を持っている人と違って不利だ。なぜなら、企業はできるだけ、もともと都市戸籍を持っている人を採用したいからだ。企業の規模などによっても異なり、最近は状況が変わってきているが、もし農村戸籍の人を採用するなら、企業はその人に、上海の都市戸籍(団体戸籍)に入る準備をしてあげなければならず、企業側の負担は大きくなる。

そこで、不動産の話だ。優秀だったAさんは何とか上海の企業に入社することができ、上海の団体戸籍にも入り、上海生まれの同僚以上にバリバリと仕事に邁進した。入社5年目、そろそろ頭金もたまったのでマンションを購入しようと思ったが、Aさんは上海市の不動産政策を調べてみて、はたと気がついた。自分は上海の不動産を購入できない身分である、ということにだ。

Aさんは団体戸籍保持者だったため、上海市内のマンションを購入する条件が整っていなかったのだ。地方によって政策は異なるが、上海市の場合、7年間納税していなければ不動産を購入できない決まりとなっている。また、団体戸籍保持者で、かつ独身者は7年間納税しても購入できない決まりだ。